住宅・木材利用3

木材市場論


木材市場論
安藤 嘉友
A5判 294>ペー>ジ 上製
ISBN978-4-88965-037-2 C3061
品切(絶版)
奥付の初版発行年月:1992年05月

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内容紹介

戦後日本の木材市場の足跡を辿り、今後の展望を描いた労作。他では入手が難しい現場のデータが豊富に収録されています。1997年11月に他界した著者の生涯を賭けた研究成果です。残部僅少。

目次

第1章 戦後木材市場の形成過程
 第1節 木材市場の展開構造
  1 流通問題の視点
  2 戦前期国産材流通の特徴
  3 戦後国産材時代の流通構造
  4 外材体制下の市場構造の変貌
 第2節 木材市売市場の成立と発展
  1 分析課題
  2 市売市場の成立とその条件
  3 市売資本と木材「市場問題」
第2章 「高度成長」と外材輸入の展開構造
 第1節 外材輸入の概観
  1 外材問題の分析視角
  2 戦後外材輸入の時期区分
 第2節 貿易管理下の外材輸入
  1 加工貿易制下の外材輸入
  2 商社の再編と外材輸入
  3 輸入外材の経済的機能
 第3節 貿易自由化の進展と外材輸入
  1 輸入数量からみた特徴
  2 貿易構造の変化と外材輸入
  3 商社活動と外材輸入
  4 外材輸入への国家助成
  5 外材輸入の意義と問題点
第3章 外材依存体制下の流通再編
 第1節 製材工業の構造変化と流通
  1 港湾整備と製材工場の立地構造
  2 消費地市場の製材品流通構造の変化
 第2節 木材市売市場をめぐる問題状況の変化
  1 市場展開の画期と市場の役割
  2 流通「合理化」政策と市場の変質
  3 市場構造の変質と市売問題
 第3節 木材市売市場の展開構造
  1 市売市場展開の時期別特徴
  2 製材品市売展開の特徴
  3 原木市売の機能と発展構造
  4 新たな産地製材品市売の形成
 第4節 木材市売取引における信用保証取引
  1 市売取引と商業信用
  2 市売信用取引の類型と性格
  3 保証金の運営と決済保証
  4 決済システムと信用保証
  5 信用保証取引の背景と性格
第4章 開発輸入の展開と資源ナショナリズム
 第1節 開発輸入の展開と背景
  1 開発輸入の背景と初期形態
  2 開発輸入の新段階と問題点
 第2節 外材輸入の構造変化と外材産地構造
  1 外材輸入の構造変化と産出国の輸出政策
  2 外材産地の林業構造
  3 外材と国産材の競争構造
 第3節 資源ナショナリズムとラワン材
  1 木材版「新価格体系」の形成
  2 木材資源の特徴と生産国カルテル
  3 ラワン材の生産構造と「共通基金」の設立
 第4節 東南アジアにおける森林開発政策の展開—マレーシア・サバ州、インドネシアを中心に—
  1 日本資本主義と東南アジア諸国
  2 経済構造の特徴
  3 開発政策の展開
 第5節 インドネシアの丸太輸出規制政策と合板工業
  1 丸太輸出規制の内容と運用
  2 丸太輸出規制の国内的影響
  3 丸太輸出規制政策と木材工業の展開
第5章 経済構造調整下の木材市場問題
 第1節 木材産業の構造不況業種化
  1 住宅不況と木材版「減量経営」
  2 急増する製品輸入と産業調整
  3 国際分業の深化と製材業の再編
 第2節 住宅産業の構造変化と木材市場の改編
  1 「高度成長」下の住宅建設
  2 80年代住宅産業の新たな展開
  3 市場閉塞下の木材流通再編
 第3節 市場開放政策の展開と木材問題
  1 「行動計画」に至る経緯
  2 構造的危機と貿易摩擦
  3 木材の市場開放と木材・林業問題
 第4節 円高下の外材輸入の新段階
  1 「高度成長」下の外材輸入の特徴
  2 「低成長」下の外材輸入の構造変化
  3 円高下の外材輸入の新段階
 第5節 新展開の日本資本主義下の木材・林業問題
  1 問題の所在
  2 国際分業の深化と木材産業の空洞化
  3 木材過剰問題と競争構造の変質
  4 構造調整政策の帰結としての林政

前書きなど

 いま、木材市場は、かつてない変革の時代を迎えているが、それは、戦後の木材市場が日本資本主義の展開のもとで、大きな構造変化を遂げてきた事の新たな現れにほかならない。この変貌過程を実証的に解明しようとしたのが本書である。
 (中略)
 本書は、日本資本主義の戦後展開とともに構造変化を遂げてきた木材市場について、この歴史過程の同時代を生きた一人の研究者としてこの間続けてきた研究成果を、執筆時期の問題意識や事実の発見、分析の論理をそのまま生かす形で、取りまとめる事によって、全体として戦後木材市場史となるようほぼ時間的経過にあわせて章別編成を行ったものである。
 本書に収録した論文は、自らの手と足で具体的な現場におりて事実を丹念に集積した膨大な実証的な研究調査に裏打ちされたものであり、この事に研究者としていささかの矜持を持つものであるが、それだけに理論化すべき多くの分野を残しており、今後の研究課題としたい。

1992年3月 著者