海外・国際問題9

中国の国有林経営と地域社会

黒竜江国有林の展開過程


中国の国有林経営と地域社会
戴 玉才, 赤羽 武 監,
A5判 281>ペー>ジ 上製
ISBN978-4-88965-120-1 C3061
品切(絶版)
奥付の初版発行年月:2000年07月
書店発売日:2000年07月20日

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内容紹介

中国国有林の歴史的変遷と現状、そして国有林経営とともに歩んできた地域社会の今後に迫る、わが国初の研究論文。入手困難な現地資料を収録した労作です。残部僅少。

目次

序章 黒竜江国有林と地域社会
 第1節 中国国有林研究の分析視角
 第2節 中国の国有林経営
  1 森林資源とその所有、経営構造
  2 国有林経営と国有林企業
 第3節 国有林経営の展開と地域社会
第1部 国有林経営の展開過程
第1章 森林開発の歴史的展開過程
 第1節 東北地方の先住民族と森林利用
 第2節 清朝末期と民国時代の森林開発
  1 清朝末期におけるロシア資本による森林開発
  2 民国時代における民族資本と日本資本による森林開発
 第3節 植民地時代の森林開発
  1 「一元的統制経営」体制の確立
  2 森林鉄道の整備
第2章 森林資源の合理的利用を理念とする経営の展開
 第1節 新中国国有林の成立
 第2節 合理的利用を理念とする経営への取り組み
 第3節 成立期の国有林経営
  1 政府による集権的な経営・管理
  2 木材生産の回復
  3 森林開発基盤の整備
 第4節 採取的経営の開始
  1 採取的経営・管理体制の確立
  2 森林開発の拡大
  3 森林経営の開始とその後退
第3章 森林資源の永続的利用を理念とする経営の展開
 第1節 永続的利用の提起と挫折
  1 経営理念の永続的利用への転換
  2 森林経営の強化
  3 木材増産の要請
 第2節 採取的経営への後退
 第3節 永続的利用を理念とする経営の再提起
 第4節 高度経済成長と採取的経営の強行
  1 永続的利用の経営理念の法制化
  2 高度成長時代と過伐の継続
  3 経営・管理体制改革の推進と経営不振
第4章 持続可能な経営を理念とする経営への転換とその実態
 第1節 市場経済への移行と国有林の対応
  1 計画経済から市場経済への転換
  2 国有林の対応
  3 現下の国有林経営
 第2節 持続可能な経営理念実現への取り組み
  1 採取的経営の終焉
  2 持続可能な経営理念の追求
  3 持続可能な経営・管理体制の構築
  4 分類経営と天然林保護
第2部 国有林地域社会の形成と変化・再編
第5章 国有林地域社会の形成
 第1節 国有林企業町社会
  1 移民政策の展開
  2 国有林企業による地域社会作り
  3 国有林地域における社会組織とその成立
  4 産業構造と国有林企業の地域独占体制
  5 国有林企業町社会の形成
 第2節 森林集落社会
  1 定住、輪伐の推進と森林集落社会の形成
  2 社会構造
  3 生活構造
  4 森林集落社会の変容と分化
第6章 国有林地域社会の変化と再編
 第1節 森林経営集落社会の変化と再編
  1 造林生産請負の導入と森林経営集落社会の変化
  2 「両自立」と森林経営集落社会の再編
 第2節 森林開発集落社会の変化と再編
  1 木材生産請負の実施と森林開発集落社会の変化
  2 「両自立」と森林開発集落社会の再編
 第3節 国有林企業町社会の変化と再編
  1 経済構造の変化と社会階層の分化
  2 人口の増加と余剰労働者問題
  3 生活構造の変化
  4 「政企合一」と営業外支出
  5 指導体制の強化
  6 国有林企業町社会の再編
終章 総  括
 第1節 中国・黒竜江における国有林経営の展開過程
 第2節 国有林地域社会の形成と変化・再編

前書きなど

中国は解放戦争と建国後の土地改革によって、「耕者有其田(耕す者が土地を持つ)」が実現し、農地、役畜、小規模の山林は私的所有となった。しかし、大面積の森林、原野、鉱山は国家的所有とされた。その後、人民公社運動によって私的所有の農地等は集団所有化されたこともあるが、大面積の森林等は一貫して国有であり、東北三省・内モンゴル東北部や四川・雲南のまとまった森林地帯は、国有林企業である林業局を主軸にして国有間営あるいは国有直営の形態で管理経営されてきている。
それゆえ中国の林業を全構造的に理解するためには、中国の経済社会の展開に対応して変転する国有林の管理経営の展開構造、それを担う国有林企業の実相、そして国有林企業の展開に伴って形成され発展してきた特殊社会としての国有林地域社会に関する精確な把握がなくてはならないであろう。しかし残念ながら今までのところ、我々は国有林を真っ向から対象にしたこうした研究成果を手にすることはできないでいる。
こうした状況下で本書は、中国の国有林にあっても中心的、典型的位置を占める東北・黒竜江国有林を直接の研究対象として俎上に乗せ、国有林経営と国有林地域社会を対象にして経済学的、社会学的分析を加えた研究の成果である。中国国有林研究史において、嚆矢をなすものと思う。
本書は、中国国有林経営に関する資料が乏しいだけでなく、国有林地域社会に関する情報・資料が皆無に近い状況からスタートし、数回に及ぶ困難な資料収集と現地での国有林経営、そして国有林企業の展開に伴って形成された地域社会の実態を克明に調査して生み出されたものである。著者の研究への情熱と粘り強い研究態度が結実したものであることはいうまでもない。
                                           赤羽 武