甦る住文化

伝統木構法と林業振興の道


甦る住文化
菊間 満, 増田 一眞
A5判 158ページ 並製
ISBN978-4-88965-149-2 C0061
在庫あり
奥付の初版発行年月:2004年06月
書店発売日:2004年06月03日

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定価:1,429円(税込1,543円)

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内容紹介

地域に根ざした、安全で安心できる住宅を造るために——注目される「伝統木構法」の全貌と、住宅・木材・林業との連携方策を示した初めての本。日本の風土に適した“本当の豊かさ”を実現する住まいと街づくりを求めて、「新伝統木造運動」の全国展開を提案します。

目次

はじめに(菊間 満) 3
Ⅰ 地域の居住と木造住宅建築(菊間 満) 17
 1 地域の居住と住宅地場産業を守る  17
  ハビタットが示した住文化のあり方と日本の現状 17
  踏まえるべき、住宅のリサイクルと供給のオープンシステム原則 20
 2 持ち家主義と住宅の商品化 23
  日本の持ち家主義は、世界の中で得意なものである 23
  シックハウス症候群は住宅商品化が招いた 31
  建築業の経営規模は海外も日本と同じ中小規模 34
  住宅の画一性と建築の地域性とは矛盾する 36
 3 「在来工法」の住文化—木の文化は日本独自のものではない— 39
  木造「在来工法」は汎世界性と地域性をもっている 39
  日本の住文化を支えてきた「在来工法」住宅 43

Ⅱ 伝統木構法の再評価へ(増田一眞) 51
 1 建築構法の選択はなぜ重要か 51
  建築構法の重要性 52
 2 伝統木構法の効用とは何か 56
  建築構法十原則(現代建築構法批判) 59
   ・芯持材と芯去材の特徴を生かす 63
 3 文化としての伝統木構法 71
 4 伝統の知恵を継ぐ限り、木造は地震などでは壊れない 85
  「伝統木造は弱かった」の実態について 85
  伝統構法と現代の在来軸組とはどこが違うのか 87
  伝統木構法の要諦 88
  職人は芸術家として尊重されるべきである 91
  伝統断絶の根源をたどってみると… 96
  木構造の抵抗の仕組みはどう変わったのか —伝統から在来への推移をみる— 98
   ・乾燥材の絶対性と建築後の自然乾燥 101

Ⅲ 住宅・国産材の「市場問題」と担い手の将来(菊間 満) 103
 1 住宅・国産材の「市場問題」の現実 103
  木造住宅市場の構造 103
  日本の木材自給率拡大を阻む、逆の非関税障壁がある 111
  新築棟数の減少・住宅市場の縮小は何をもたらすか 113
 2 沖縄県—木造文化と担い手の解体—  114
   木造文化解体・沖縄県の歴史をみる 114
   沖縄県の歴史から学ぶ本土の将来 117

Ⅳ 住文化創造の主役である職人と新伝統木構法(増田一眞) 121
 1 職人の特質 121
 2 現代生活における三つの断絶 124
  第一の断絶—歴史性原理と伝統の否定 125
  第二の断絶—内在性原理と主体性の否定 126
  第三の断絶—総体性原理と連関の否定 127
 3 伝統木構法から新伝統木構法へ—伝統の知恵と科学の融合— 128
 4 新伝統木構法の基本骨格  130
 5 美しい伝統の木組みを次代に伝えよう 132
  街並みを守る 132
  美しい街並みと住まいを次世代に残す事業を 135
 6 地域での取り組みの紹介 137

むすびに —新伝統木造運動の全体像と住宅地場産業—(菊間 満・増田一眞) 143

あとがき (菊間 満) 147

参考文献 151
著者紹介 155

前書きなど

本書の「むすびに」から(抜粋)
 本書で提起している新たな伝統木造運動とは、日本の伝統的な木造建築技術を正しく継承するとともに、その構法をより高い立場で統一し発展させ、ゆるぎない木造建築構法と豊かな住文化を再興させようとするものです。いまや伝統木構法は高級なぜいたく仕事になってしまったという思いこみや、伝統木構法で家を建てたいけれど、どこに頼めばよいのかわからない、といった状況が見受けられます。しかし、伝統木構法は、ぜいたくでも高級でもありません。丈夫で永持ちして美しい、日本唯一の安心して住める木造建築の構法です。このような日本の風土に適し、幾多の名建築を世に送り出してきた伝統木構法による住宅の建築を広め、多くの人たちが抱いている住まいへの強い希求に応えることが、今日ほど必要とされている時はありません。
 では、この運動を誰が担うのかといえば、運動を構成する中心は、①大工・工務店と全職種の職人集団です。そして、職人との同盟者は、②木構造と木造文化に関心を持つすべての設計者・研究者・批評家・ジャーナリストで、このグループは、建て主と作り手を仲立ちするサポート役として欠かせません。さらに、③林業、木材産業、自然素材メーカーなど住宅に関連した地場産業の人々は、この運動の成否が今後の死活を制するわけですから、不可欠の構成部分を占めます。また、④われわれと同じ主張をもって、すでに全国で運動している設計者、工務店の諸団体やグループや古民家再生運動なども、それぞれの独自性を保ちつつ団体参加してもらい、運動を全国化する必要があるでしょう。個々の声を一つにまとめ大きな国民運動とすることによって、より良い住まいとより良い住文化への道筋を、国の政策に反映させることにもなるからです。そして、これらの建築関係者の背後に、⑤良い建築を求める無数の一般大衆がいます。
 この運動は、地域の立場からみれば地場の建築にかかわる多くの自営業者と労働者に支えられ、産業の立場からみれば地域の林業と中小企業などの住宅地場産業に支えられ、生活者の立場からみれば広範な協同組合や高齢者などへの在宅介護組織との協力を必要とします。このような広い意味での協働関係によって、住宅地場産業は、地域生活の上での最も重要な「基幹産業」になりうるといえましょう。