聞き書き 山の親父のひとりごと 2

鉄砲堰・架線・造林・・・


聞き書き 山の親父のひとりごと 2
東京の林業家と語る会 編
A5判 104ページ 並製
ISBN978-4-88965-160-7 C0061
在庫あり
奥付の初版発行年月:2005年09月
書店発売日:2005年09月07日

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内容紹介

山仕事のディープな世界へようこそ 待望の第2弾!

目次

はじめに 2冊目を世に出すにあたって 5
 
聞き書き・その四 久保田 喜助さんに聞く 9
子供の頃から見様見真似で 最初は茶坊主 11/はじめは親父の組で まずは伐採 12/庄屋と小庄屋 元締めから仕事を請ける 13/森林組合に入る 昭和40年すぎ 15/伐採と出材は別 山仕事の違い 16/皮剥き 川流しに備えて 17/リンを止める 玉切りは特に重要 18/木ソリ(木馬)で運ぶ 石曳きもあった 19/川流し 一番面白かった 20/川修羅と簗 流しづらいところにかけた 22/木(丸太)に乗る 落ちたら仕事にならない 23/鉄砲堰 10年くらいもつので何回も使う 25/鉄砲堰を開く(水を流す) 窓を切ると風が来る 26/鉄砲堰を造る 丸太を組んで目塗り 28/丸太から落ち、マムシに噛まれた えらい目にあう 31/蜂を食べる あんなうまいものはない 32/山小屋の日々 家が近くてもみんな泊まった 34/山小屋の食事 飯と味噌と漬物 35/休みと酒 身上もつと呑むだけ 36

修羅とは? 39

聞き書き・その五 田中 孝次さんに聞く 43
子供の頃から皮剥き 村からは出られない 45/仕事を請ける 40軒の仲間で 46/山仕事の配分とやりくり コヨリで決める 47/下木伐りと足場丸太 青い部分まで出した 48/トチ曳き 下木を運ぶ 49/根ッゴックイ 印をつける 53/余計に伐る 埋めてしまうこともあった 53/リンギリの値決め 駆け引きはあった 54/リンの組み方 木を倒して滑らせて横にする 55/トビとツル 俺はオオトビがよかった 57/ソリで出す 現場があれば今でもやる 59/薪をソリで運ぶ 道なき道を曳く 63/架線集材 最初は釣瓶式 61/ワイヤーを運ぶ みんなで背負って 65/馬で出す 馬方と一緒に借りた 66

聞き書き・その六 野村 康夫さんに聞く 69
18で山に入り22で専属に 現場を転々としてから 71/伐出と造林は別物 それぞれの持ち分がある 72/地拵えは楽だった 薪を拾うから 72/植林本数は1町歩3000本 雪に負けないように 74/苗木の間隔は目見当 臨機応変に 74/苗木を隠す 近くばかり植える人も 75/お彼岸に仮植をする 根が出て土がつく 76/植え付け 5月いっぱいまで 77/土を入れる いいところから運ぶ 78/一番植えたのは杉 昔は桧がよかった 79/25年たつといい材がとれた 値段もよかった 80/冬枯れとノウサギの被害 必ず補植をした 81/寒さに耐える 手袋はなし 83/追い刈りと2度刈り 痛い思いをして教わる 83/大刈り 粗朶薪を出す 85/除 伐 下木を取り除く 86/間伐はなかった 今とは木の価値が違った 87/枝打ち 根払い、小払いの後 88/枝打ち梯子 山で作った 90/山(立木)の売り方 目通り尺締めで 92/立木(たちき) もしもの時の備え 93/何でも売れた時代 昭和30年代 93/給料と山の神 役所勤めよりよかった 94

コラム
「川流し」とは? 11/「架線集材」とは? 62/架線集材の種類と変遷(釣瓶式→カンチョウ→連送) 63

「親父」のひとりごとを聞くわけ 関岡東生 97

参考資料一覧 101

前書きなど

刊行に寄せて 関岡東生(東京農業大学講師)
 この数年、「東京の林業家と語る会」にお誘いいただき、久保田喜助・田中孝次・野村康夫の3人の「山の親父」たちからお話をうかがう機会に恵まれてきました。私が身を置いている研究の現場は、良くも悪くも「先端」を追い求めるものですので、既に姿を消してしまったような技術や、それを支える道具や知恵などについて振り返り検証する機会にはなかなか恵まれません。ですので、「親父」たちとの出会いは驚きの連続でしたし、様々なことを考えさせていただく時間となりました。
 現場では「親父」たちに様々な質問をしました。「リンを組むときの注意は?」、「木馬道はどうやって造るんですか?」そんな質問をしたときの「親父」たちの返答はいつも「うまくいくように組むんだよぉ」、「じょうずに造らなくっちゃなぁ」といった漠然としたものでした。質問が悪かったのかと思い、「リンは何段まで積むんですか?」、「修羅には一度に何本の木材を流しましたか?」と聞いても「いいなぁと思うところまで積むよ」、「流せるだけ流せばいいよぉ」と埒があきませんでした。はじめの頃は、失礼ながら「他人に説明することには慣れていないんだろうな」といった解釈をしていたのですが、「親父」たちとの付き合いがちょうど1年を超えた頃からでしょうか、こちらが大きな間違いをしていたことに気づきました。
 彼らは小さな技や知恵を無数に持っていて、リンや修羅、鉄砲堰といったものは、それらの小技の組み合わせによって構築される、いわば「技の集合体」だったのです。ある局面にだけ用いられる技術は皆無で、1つ1つには何の特徴も持たないような小さな技・小さな知恵の集合体として存在していることに気づきました。だからこそ彼らも、質問には答えようがなかったのでしょう。
 一方で、「親父」たちとともに仕事をしてきた多くの人々が、歴史の流れの中に没していることにも気づかされました。そうした中で彼らはどうして現在にまでその知恵を伝えることができたのでしょうか。「親父」たちは、単に長命であっただけなのでしょうか。もちろん、そんな単純な話ではないことが、本書をお読みいただければわかると思います。
 「親父」たちは、1つの技術を身につけるとそれを他に活かす能力に長けている。別の言い方をすると、極めて柔軟な思考とそれを実行
 本書の刊行が、各地に火種をまき、各地に眠る「親父」たちの技や知恵を掘り起こし、記録に留める活動のきっかけになることを祈っています。そして、そうした活動は高等学校や大学等で森林や林業について学ぶ後進たちに、大切な何かをプレゼントすることになるように思います。彼らが、次の時代の森林管理や林業問題について考える際に、極めて重要な示唆を与えるのではないでしょうか。