森と木と人のつながりを考える

 

林業経済研究の論点
50年の歩みから

林業経済学会(編)

A5判  700ページ 上製
定価 8,381円 (本体価格 7,619円)
ISBN978-4-88965-165-2 C0061
絶版

奥付の初版発行年月 2006年11月
書店発売日 2006年11月17日

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解説

林業経済学会創設50周年を記念して、あらゆる論文を整理・収録!

紹介

林業経済学会創設50周年を記念して、あらゆる論文を整理・収録!

目次

推薦文 林野庁長官 川村 秀三郎
林業経済学会50周年によせて 林業経済学会会長 餅田治之

第1部 年代別研究動向
第1章 草創期(1945〜54)の研究動向(半田良一) 3
 Ⅰ 40年代後半−戦後改革と林業経済の対応− 4
 1.資本と林業との関係 4
 2.農業と林業との関係 7
 Ⅱ 50年代前半−林業経済研究の自立の歩み− 9
 1.林業環境の好転と研究視点の拡大 9
 2.林業経済研究の定量的側面 12
 3.木材価格論と林業地代論 13
 4.その他の業績 18
 第1章参考資料 22
第2章 発展期(1955〜64)の研究動向(福島康記) 31
 1.本章の主要課題 31
 2.石渡・鈴木の地代論と岡村の林業近代化論 31
 3.林業資本主義化を巡る諸研究 34
 4.高度経済成長期の林業・林政 40
 5.経済国際化の進展と基本法林政 42
 6.山村問題について 46
 7.林業労働問題研究について 49
第3章 1970年代の研究動向(笠原義人) 59
 1.はじめに 59
 2.林業白書「特集テーマ」に見る政策基調の推移 59
 3.1970年代の林業経済研究活動の特徴 60
 4.課題別にみた1970年代の林業経済研究動向 64
第4章 1980年代の研究動向(宮林茂幸) 73
 1.はじめに 73
 2.1980年代の日本経済の特徴と森林・林業・山村問題 74
 3.1980年代の林業経済研究の動向 76
 4.おわりに 82
第5章 1990年代の研究動向(土屋俊幸) 89
 1.1990年代林政の流れと林業経済研究 89
 2.『林業経済研究』誌掲載論文に見る研究分野の変遷 97
 3.『林業経済研究』誌掲載論文に見る対象地域の傾向 99
 4.まとめ 100

第2部 分野別研究動向,関連文献および選著解題 103
第1章 森林・林業政策(堺正紘・泉英二・柿澤宏昭) 105
 Ⅰ 森林・林業政策の研究動向 105
 1.はじめに 105
 2.第1期 戦後造林から林業基本法の成立まで 106
 3.第2期 基本法林政の展開過程(1965年〜1976年) 106
 4.第3期 地域林業政策への転換,流域林業まで(1977年〜1990年) 108
 5.第4期 流域林業政策から森林・林業基本法まで(1991年〜2000年) 109
 Ⅱ 森林・林業政策分野関連文献 111
 Ⅲ 森林・林業政策選著解題 118
第2章 林業構造論(餅田治之・志賀和人・駒木貴彰・藤掛一郎) 123
 Ⅰ 林業構造論研究の課題と展望 123
 1.はじめに 123
 2.農業に現れた構造論 124
 3.構造論と地代論 125
 4.林業構造論 127
 5.基本問題答申で示された日本林業の構造的理解 130
 6.林業発展類型の構造論 132
 7.その後の林業構造論 133
 Ⅱ 林業構造論関連文献 136
 Ⅲ 林業構造論選著解題 143
第3章 林業地代論(黒瀧秀久・三木敦朗・小山淳哉) 147
 Ⅰ 林業地代論の研究史と課題 147
 1.林業地代論の射程 147
 2.研究前史 148
 3.第Ⅰ期−封建制と造林補助金をめぐって 149
 4.第Ⅱ期−林業の資本主義化と理論のモデル化 151
 5.第Ⅲ期−再検討の時期 153
 6.新しい林業地代論研究へ 1544
 Ⅱ 林業地代論関連文献 161
 Ⅲ 林業地代論選著解題 170
第4章 入会林野論(岡田秀二・佐々木一也) 173
 Ⅰ 入会林野論の研究動向 173
 1.入会研究の主要論点・学説史概要 173
 2.林政学分野の入会研究の系譜 178
 3.研究論文整理 182
 4.入会研究のコモンズ研究化 191
 Ⅱ 入会林野論関連文献 197
 Ⅲ 入会林野論選著解題 201
第5章 国有林野論(神沼公三郎・飯田繁・大浦由美) 205
 Ⅰ 国有林野論の研究動向 205
 1.1970年代初頭まで 205
 2.1970年代初頭から1980年代終盤の研究動向 207
 3.1990年代以降の研究動向 209
 4.国有林研究の意義と今後の方向性 212
 Ⅱ 国有林野論関連文献 219
 Ⅲ 国有林野論選著解題 203
第6章 林家経営論(佐藤宣子・興梠克久・田中 亘・能本美穂) 233
 Ⅰ 林家経営論の研究動向 233
 1.林家経営論の視角と方法 233
 2.戦後林家研究発展の端緒 235
 3.大規模林家研究の展開  235
 4.中小林家研究の動向 240
 5.近年の研究動向と今後の課題 247
 Ⅱ 林家経営論関連文献 255
 Ⅲ 林家経営論選著解題 264
第7章 林業労働論(小池正雄・菊間満・古川泰) 269
 Ⅰ 林業労働論の研究動向 269
 1.はじめに 269
 2.戦後復興期までの林業労働研究の展開 271
 3.高度経済成長期以降バブル期まで 273
 4.バブル期以降1990年代末まで 278
 5.21世紀に入った現在における林業労働研究の現状 283
 Ⅱ 林業労働論関連文献 290
 Ⅲ 林業労働論選著解題 302
第8章 森林組合論(笠原義人・鈴木喬・井口隆史・枚田邦宏) 307
 Ⅰ 戦後森林組合論の研究動向 307
 1.1964年以前の研究 307
 2.1965年〜1994年の研究 309
 3.1995年以降の研究 317
 4.おわりに 321
 Ⅱ 森林組合論関連文献 326
 Ⅲ 森林組合論選著解題 339
第9章 木材産業論(定性分析)(村嶌由直・荒谷明日兒・武田八郎・野田英志・加藤滋雄) 345
 Ⅰ 木材産業論(定性分析)の研究動向 345
 1.はじめに 345
 2.木材産業・流通の戦後再編—1960年以前— 346
 3.外材輸入による流通再編—60〜80年代後半— 350
 4.今後の課題 365
 Ⅱ 木材産業論(定性分析)関連文献 372
 Ⅲ 木材産業論(定性分析)選著解題 382
第10章 木材産業論(定量分析)(行武潔・立花敏・久保山裕史) 385
 Ⅰ 木材産業論(定量分析)の研究動向 385
 1.はじめに 385
 2.価格分析 385
 3.生産構造分析 388
 4.市場分析 391
 5.森林経営分析 395
 6.産業連関分析・コウホート分析等 398
 7.総合モデル等 399
 8.おわりに 401
 Ⅱ 木材産業論(定量分析)関連文献 412
 Ⅲ 木材産業論(定量分析)選著解題 424 
第11章 林業史(加藤衛拡・成田雅美・脇野博) 429
 Ⅰ 林業史の研究動向 429
 1.概  観 429
 2.地域林業史 431
 3.林野制度史 435
 4.林業技術史 439
 5.林業史研究の課題 442
 Ⅱ 林業史関連文献 444
 Ⅲ 林業史選著解題 455
第12章 山村問題(野口俊邦・宮林茂幸・伊藤勝久・原研二) 459
 Ⅰ 山村問題の研究動向 459
 1.戦後〜1970年代の研究動向 459
 2.1980年代の研究動向 464
 3.1990年以降の研究動向 470
 4.おわりに 479
 Ⅱ 山村問題関連文献 480
 Ⅲ 山村問題選著解題 490
第13章 自然保護・市民参加論(柿澤宏昭・齋藤和彦・山本信次) 493
 Ⅰ 自然保護・市民参加論の研究動向 493
 1.自然保護問題の発生と初期の研究 493
 2.森林における環境保護論の展開 494
 3.知床伐採問題をめぐる議論 497
 4.90年代における展開 499
 5.新たな概念装置の提起、これからの展望 504
 Ⅱ 自然保護・市民参加論関連文献 510
 Ⅲ 自然保護・市民参加論選著解題 517
第14章 観光開発・交流・森林レクリエーション研究(土屋俊幸・八巻一成・栗栖祐子) 521
 Ⅰ 観光開発・交流・森林レクリエーションの研究動向 521
 1.はじめに 521
 2.観光レクリエーション研究の意義 522
 3.「観光開発・リゾート開発」に関する研究動向 524
 4.「都市と山村の交流」に関する研究動向 529
 5.「森林レクリエーション」に関する研究動向 535
 Ⅱ 観光開発・交流・森林レクリエーション関連文献 541
 Ⅲ 観光開発・交流・森林レクリエーション選著解題 548 
第15章 環境経済学(永田信・柴崎茂光・庄子康) 553
 Ⅰ 環境経済学の研究動向 553
 1.はじめに 553
 2.初期の研究 553
 3.水源林の費用負担問題 555
 4.林業(森林管理)助成論 556
 5.環境価値の貨幣評価 559
 6.森林資源勘定 561
 7.グローバルな視点からの研究 563
 8.おわりに 564
 Ⅱ 環境経済学関連文献 571
 Ⅲ 環境経済学選著解題 579 
第16章 海外地域研究(関良基・竹田晋也・原田一宏・増田美砂・横田康裕) 583
 Ⅰ 海外地域研究の研究動向 583
 1.はじめに 583
 2.東アジア地域 583
 3.東南アジア 590
 4.島嶼部東南アジア 592
 5.大陸部東南アジア 601
 6.その他の発展途上国 603
 Ⅱ 海外地域研究関連文献 606
 Ⅲ 海外地域研究選著解題 621
第17章 比較森林政策論(石井寛・大田伊久雄・堀靖人) 625
 Ⅰ 比較森林政策論の研究動向 625
 1.戦前の研究 625
 2.戦後初期の研究 626
 3.1955年から1980年までの研究 628
 4.1981年から2005年までの研究 631
 5.戦後比較森林政策論研究の特徴 641
 Ⅱ 比較森林政策論関連文献 652
 Ⅲ 比較森林政策論選著解題 665

前書きなど

林業経済学会は、林業経済研究会の時代を含めて、50周年の記念すべき年を迎えました。この半世紀を振り返ってみると、日本ばかりでなく世界の森林・林業問題や、またそれらに対する人々の関心は劇的と言っていいほど大きく変化し、それに伴って林業経済学の研究対象もまた著しく変化してきました。そうした研究の波を形作ってきたのは、社会における森林・林業の位置づけの変化や、森林・林業研究に対する社会の要請の変化であり、そうした社会的要請を敏感に受け止めてきた研究者側の主体的な意識であったろうと思います。したがって研究課題についてブーム的な消長があったということは、私たちの研究がそれぞれの時代における社会的要請にきちんと対応してきたことを物語る証拠です。そういう意味で、これまでの林業経済学会の半世紀の歴史を評価したいと思います。と同時に、今日、研究と社会のつながりが希薄になりつつあることも懸念されます。応用的な社会科学を目指す林業経済学会としては、改めて社会との関わりを考え直す必要があります。今、林業経済学会はプレゼンスの向上を目指して活動しておりますが、社会との関わりを改めて考え直すことは、そのプレゼンスの向上にとっても必要不可欠のことだと思います。この50周年記念誌がそのことを改めて考える契機になることを期待します。
林業経済学会会長 餅田 治之

著者プロフィール

林業経済学会(リンギョウケイザイガッカイ)
昭和30年に林業経済研究会として会員28名で発足。昭和58年に今の学会のかたちに組織改革し、平成18年11月3日に設立50周年記念式典を東京大学山上会館大ホールで開催。現在の会員数は400名。

上記内容は本書刊行時のものです。

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