御料林経営の研究

その創成と消滅


御料林経営の研究
萩野 敏雄
A5判 178>ペー>ジ 上製
ISBN978-4-88965-166-9 C0061
品切(絶版)
奥付の初版発行年月:2006年12月
書店発売日:2006年12月15日

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内容紹介

敗戦とともに失われた御料林。その実像を初めて明らかにする!

目次

まえがき——御料林経営研究の今日的意義—— 

序章 ドイツ林学・ユンカー制度輸入の始祖、青木周蔵 1
1.ドイツ林学への着目と、大規模林業経営の実践 1
2.ユンカー制度輸入と貴族農場形成(那須野カ原台地) 7
3.今次戦後農地改革と旧那須貴族農場 21

第1章 〈御料林〉の創成・確立過程 25
1.前史 25
2.〈御料地〉への編入 29
(1)内地の進行過程 29
(2)北海道の進行過程 36
(3)「囲い込み」確立 37
3.出先機関の変遷 39
4.2台地元問題の解決方策 42
(1)木曽谷・裏木曽町村への御下賜金 43
(2)山梨県への恩賜林 47
5.御料林廃止論 50
6.農地経営の取り止め 52

第2章 経営の発展過程 55
1.その特質 55
2.第1段階(初期経営) 58
3.第2段階(「中期計画」経営) 62
4.第3段階 71
(1)天然林施業風潮の波及 71
(2)御料林の経営委託問題(摂政裕仁親王の御下問) 74
(3)山林局側の対応と結末 78
(4)「経営百年計画」成案の分析 83
5.第4段階(戦時増伐経営) 99

第3章 皇室財政と御料林 107
1.御料林財政の推移 107
2.<木曽森林の位置> 111
(1)社会的位置 111
(2)地域内出張所の収支 115
(3)伐出部門の存在形態 117
 付:筏流事情の聞き書 122

第4章 戦後期の御料林 127
1.GHQの対皇室方針 127
2.末期の全容(昭和21年11月現在) 134
3.国有林との統合 145
(1)戦前の林政統合問題 145
(2)戦後の林政統合問題 149
(3)帝室林野局・山林局側の交渉過程 150

あとがき 165

前書きなど

 今は1史実にすぎない存在となった御料林を、なぜ、現代の問題としてとりあげたか。通説では、農業分野には農地改革が行われたが、林業分野においては山林改革はなかったとされている。だが、それは誤りである。130万5,243haに及ぶ御料林が、同じGHQの方針により、昭和22年3月末日をもって消え去っているからである。御料林の消滅、それは天皇制とかかわることから、太平洋戦争敗戦の1象徴と云ってよい。それよりすでに60年以上の歳月を経た今日、旧関係者以外の人々の脳裏にはほとんどその映像はないと思われるが、かつての存在は輝いていた。
 皇室財産は「御料」と呼ばれたが、本書の主題である御料林は、わが国の近代国家形成の一環として誕生した。その所在は、北の大地・北海道から南は伊勢神宮の存在する三重県にまでおよび、そこでは先進性をもつ大規模林業経営が約60年にわたり展開した。だが、敗戦に伴い昭和22年3月末をもって姿を消し、そのすべてが国有林に統合されるにいたった。
 今、御料林の実像を知る人は数少ない。そのことは戦後の林業経済研究分野のうえにも投映している。1冊の著書はおろか、1編の論文すらみられない。舞台からいったん消え去ったものは、研究対象に値しないということであろうか。
 それに対し、逆に御料林研究の必要性は増しつつあるとみるのが、著者の見解である。すなわち、今日的意義を増しつつあるとみている。その主な理由は、次の5点である。
 第1点:御料林研究を通じ、国有林における近代的林業経営体としての今日性が発掘できる。
 第2点:現下の国有林経営にみられる衰退の主因として、戦前に国有林と良きライバル関係にあった、御料林社会の消滅が指摘できる。
 第3点:林政統合の中心的位置にあった御料林の経営研究が、林業経済の分野では皆無にひとしい。
 第4点:帝室林野局が当初きわめて重視し、精力的に推進した農地経営としての御料林開発の失敗は、今後の農政推進、すなわち拓殖政策上からも大いに参考になる。
 第5点:旧国有林の所在が内地のみであったのに対し、御料林は異質な内地・北海道の両地域に及んでいた。 そのことは、林政研究上きわめて重要な意義を持つ。
 御料林経営研究の今日的意義は、決して小さくはない。