森林社会デザイン学序説 第2版


森林社会デザイン学序説 第2版
北尾邦伸
A5判 355>ペー>ジ 並製
ISBN978-4-88965-170-6 C0061
品切
奥付の初版発行年月:2007年04月
書店発売日:2007年04月02日

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内容紹介

<森林社会>の実現に向けた論考を集大成した好著。2005年の初版本に増補4編を加えた第2版。

目次

はじめに 3

第1部 時代的状況 11
 1章 いま、「まちとむらをむすぶ」とはどういうことか 13
  自然・風土・文化・人間 —環境性と主体性— 13
  自然への身体の配置と環境 15
  森林施業および林業構造の基礎的理解 17
  ローカルな思想を創る 19
  市場経済を組み替える 21
  ローカル・コモンズと公共性 23
  連帯・提携とネットワーク 25
 2章 安定社会に向けて 31
  はじめに 31
  来るべき時代 31
  現状から未来へ 35
   (1)県森林審議会 35/(2)ツキノワグマの保護管理 36/(3)県林業公社の見直し 38
  里山管理について 39
   (1)林業と森林経営 40/(2)環境資源としての里山マネジメント 42/(3)雑木林林業の可能性 44

第2部 森へ、そして森林社会へ 49
 3章 森林社会への道 51
  森林社会のイメージと時代状況 51
  日本の農山村は、いま 55
  里山的世界 58
  森への旅 60
  21世紀に引き継ぎえる林業経営 61
  生命系の「安定社会」にむけて 64
 4章 地域のなりわいとエコツーリズム 69
  はじめに 69
  なにがエコツーリズムか 69
  日本でのエコツーリズム 72
  グリーンツーリズムを対置して 74
  地域のなりわい 75
  現在におけるコモンズの在処 77
  まとめにかえて 79
  <附>自然保護地域 83
 5章 「里山」の発見とその展開方向 87
  はじめに 87
  用語としての里山とその諸見解 87
  里山の形成と変貌 92
   (1)里山の自然 92/(2)里山の領域構成 94/(3)里山の変貌 96
  「里山」の現代的意義 96
  展開方向 —まとめにかえて 99
 補章 森に遊び森を楽しむ —森林ツーリズム— 103
  はじめに 103
  アメリカから 104
  ヨーロッパから 107
  日本各地の事例から 109
   (1)阿蘇グリーンストック 109/(2)株式会社たもかく 110/(3)どんぐり銀行 111
  森への旅と旅行業 112
  <附>ブッグガイド①:木平勇吉編著『森林環境保全マニュアル』 115

第3部 中山間地域の存在性 119
 6章 森をめぐる営みの確かさ —日本の「山村らしさ」にあったもの、あるもの— 121
  はじめに 121
  生業としての林業 122
  山に生きる暮らし 125
  里山をもつランドスケープ 128
 7章 出雲の築地松 —生きられる景観— 131
  はじめに 131
  屋敷森と散居集落 132
   (1)斐伊川の東進と開田 132/(2)屋敷森の暮らし 136
  築地松 —その用と美— 138
   (1)防風とマツ 138/(2)ノーテゴリ(陰手刈り) 139/(3)屋敷構え 140
  景観の衰退 143
  むすび 145
 8章 たたらと里山 149
  はじめに 149
  たたら製鉄の発展と消滅 151
  山内 —鉄を湧かす里— 155
  たたら山(鉄山)について 157
  地域編成力としてのたたら経営 —もう一つの「里山」— 160
  未来に向けてのサト・ヤマ論 —「森と里の思想」の再検討— 162
 9章 中山間地域の新たな可能性 167
  はじめに 167
  「中間山地域」の登場 167
  循環型社会の再構築 169
  定常開放系の自然と循環系社会 174
  「市民」が支える中山間地域 177
  むすび 179

第4部 「環境と経済」への意図 —環境政策と産業の「自立」— 185
 10章 環境政策と林業政策のはざま —森林・林業基本法が示しているもの— 187
  はじめに 187
  新基本法解読の難しさ 189
  新基本法に欠けているもの 195
  共生・循環社会 198
  結  び 201
  <附>事典・年鑑に掲載の五つの事項 209
     1)地球温暖化対策と日本の森林・林業 209
     2)21世紀グリーンプラン 215
     3)林  業 216
     4)環境倫理 219
     5)自然享有権 223
 11章 林業・木材産業の地域的再生 —三重県松阪木材コンビナートの創設をめぐって— 225
  はじめに 225
  製材産地としての松阪 226
  コンビナートの全容 229
  大型並材製材工場の設立と住宅部材の安定供給 237
  原木の安定供給体制 241
 補章 環境問題と経済 —切り口、スタンス、コンセプト— 247
  序  論 247
  環境問題と森林・林業 251
  <附>ブックガイド②:大田伊久雄著『アメリカ国有林管理の史的展開』 261
  <附>ブックガイド③:依光良三編著『流域の環境保護』 263

第5部 森林・林業の回生 267
 12章 森林の価値の在処、存在の仕方 269
  はじめに 269
  機能(森林の働き)と価値 270
  森林の価値を量る 272
  文明的転換期における当為の「究極目的」の変更 275
  まとめにかえて —森林・林業の基本的価値— 276
  <附>森林ガバナンス 281
 13章 ローカル・コモンズと公共性 287
  「コモンズ」の登場 287
  新森林・林業基本法の無効性 288
  協働の場としての森林 292
  循環系社会 —コモンズの在処— 294
  市民社会における公共性 296
  まとめ 298
 終章 ゆたかな森林づくり、希望の林業 —むすびにかえて— 303
  森林づくり税 303
  コモンズからの未来 305
  「コモンズ」の再定義 308
  コモンズのとりもどし 309
  希 望 311

増補1 森林ガバナンスのはじまり —福岡県甘木市での動き— 317
 森林管理 317
 甘木市森林整備隊AFC 318
 森林組合の経営状況 319
 あまぎ国際木こりの森構想 320
 あまぎ緑の応援団 323

増補2 森林団地施業の担い手 —徳島県木屋平村の第3セクター「ウッドピア」— 325
 森林団地施業 325
 ウッドピアの概要 326
 事業内容 327
 現場組織および資本装備 328
 森林の団地施業に向けて 329

増補3 場所への愛 —島根県の株式会社美都森林— 333
 トポフィリア 333
 会社設立の動機および事業内容 334
 革新的間伐生産技術への挑戦 335
 挑戦者としての働き手達 338
 地域とのつながり —調和的環境の創成— 339
 小 括 342

増補4 森を治めるという難題 345
 林政の推移と現段階 346
 森林・林業を中心に据えた循環型社会 349
 森林自治 352

前書きなど

「はじめに」から(抜粋)
 デザインとは、つまりは、アイディアや夢を構想力にまで高め、「意志と力」を注いで、かたちをつくる営為である。システム的で、秩序的、組織決定的な行政の「計画」は、ともすれば計画づくりを自己目的化し、計画倒れに終始する。制度化されている「森林計画」は、とりわけそうであった。
 はたまた、「成長の経済」を推進せんがために自然を単純化し、公権力でねじ伏せる「全国総合開発計画」のもとで、自然は痛めつけられ、疲弊してきた。計画立案も一種のデザインと言えなくもないが、いま、要請されているのはそのリ・デザインである。
 この本の、<森林社会>に対するデザイン力は、いかほどのものか。筆者自身、全く推し量れない。読者賢者と歴史に判断をゆだねるしかない。傷つけられた自然環境から、いろんなシグナル(signal)が送られてきている。それらを感受し、サイン(sign)としてデ・ザイン(「デ」は表出・案出)する。自然との関係の確かさを求めて、「森林」という存在と「森のメカニズム」を可能な限り社会に埋め込み直す。そのような作業のためのなにがしかの序説となっていれば、望外の喜びである。
 なお、2007年に本書の「第2版」を世に出すことができた。「第2版」刊行にあたり、巻末に「増補」を加えたことを付記しておく。

2007年4月
北尾 邦伸