林業の創生と震災からの復興


林業の創生と震災からの復興
久保田宏, 中村元, 松田智
A5判 131ページ 並製
ISBN978-4-88965-232-1 C0061
在庫あり
奥付の初版発行年月:2013年07月
書店発売日:2013年07月30日

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内容紹介

木質バイオマス発電等の陥穽を突き、被災地を含めた林業創生のビジョンを示す!

目次

はじめに 3

第1章 林業の創生は森林の保全のためでなければならない 13
 1-1 森の保全に多くの人の関心が集まっている 13
 1-2 林業の創生は現状を肯定した無用な森林の機能区分の廃止から 14
 1-3 生産力を失った森林が地球温暖化対策の役割を背負わされた 16
 1-4 CO2排出権取引制度からは何も出てこない 18
 1-5 海外における環境植林と産業植林 21

第2章 林業創生のプランを考える 25
 2-1 造林面積が伐採面積に追いつかない 25
 2-2 森林保全との調和を保つための木材生産方式の選択 27
 2-3 林業創生での採算性と生産性の向上のための方策 34
 コラム2-1 造林コストと鹿の食害対策 39
 2-4 自給率アップは林業創生の結果でなければならない 40
 2-5 間伐材の利用と林業の創生は両立しなければならない 43
 2-6 海外における産業植林の現状と将来の在り方 47
 2-7 ボランティア活動としての森の保全の限界 48
 コラム2-2 「緑のオーナー制度」がこのまま消滅してよいのか? 49

第3章 森林は文明社会のエネルギーを供給しない 53
 3-1 途上国の社会生活の主要エネルギーは今でもバイオマス 53
 3-2 エネルギー源としての森林バイオマス(木材)の寄与は非常に小さい 56
 3-3 木材はマテリアル利用を優先し、
エネルギー利用では熱利用とすべきである 61
 3-4 木材のエネルギー利用方法の経済性について考える 64
 コラム3-1 木材のエネルギー利用の実施例;その1 68
 コラム3-2 木材のエネルギー利用の実施例;その2 70
 3-5 バイオマスのエネルギー利用を主目的とした
国策「バイオマス・ニッポン・総合戦略」が崩壊した 72
 3-6 「FIT制度」を当てにしたバイオマス発電は林業創生を阻害する 75
 コラム3-3 木質バイオマスエネルギー代替での国の補助金について 79
 コラム3-4 商用電力生産におけるRPS法の許されない非常識 81

第4章 林産加工業が林業創生のカギを握る 85
 4-1 産業としての林業と森林の環境保全の役割 85
 4-2 国内需要の減少のなかで国産材の需要は僅かだが増加傾向にある 87
 4-3 木材の市場価格を支配する要因 90
 4-4 路網整備の費用を国が負担することで、はじめて山から木が出てくる 94
 4-5 パルプ・チップ用材はどこまで国産化できるか? 95
 コラム4-1 製材用材自給率のアップを目指して人工林の100%利用を仮定した
  場合の用途別木材供給可能量の試算結果 98
 4-6 国産針葉樹をパルプ原料として利用するには 99
 コラム4-2 スギのパルプ原料としての利用 101
 4-7 木材加工業は、国産材の利用で成長できるか? 102
 4-8 林業の創生のカギは木材加工業者が握っている 104

第5章 震災復興と林業創生 107
 5-1 震災復興計画の中での国民のお金の使い方の基本原則 107
 5-2 ガレキの中の木材の処理、処分について 109
 コラム5-1 石巻市におけるガレキ処理提案とその顛末 111
 コラム5-2 木質ガレキによるバイオマス発電計画の頓挫 113
 5-3 被災地の産業振興を目的とした林業の創生を 114
 コラム5-3 新しいバイオマスタウン構想に補助金は不要 116
 5-4 放射能に汚染された森林は除染の対象にならない 118

あとがき 125
著者紹介 131

前書きなど

「はじめに」から
 日本経済にとって、震災からの復興が急務とされています。被災地の恵まれた森林からの供給が期待できる国産材を使った復興住宅の建設も計画されています。しかし、この被災地域における森林は、国内の他の地域における森林と同様、今まで半分以上が眠っていたと言ってよいでしょう。眠っていた森林から安価に木材を運び出し、輸入材に依存しない林業の仕組みをつくることができてはじめて、国産材を使った復興住宅の建設も可能となります。と同時に、今まで輸入に頼ってきた建設用材やパルプ・チップ用材等の産業用材を国産材に置き換えることで、長期的な視野に立った地域産業が振興し、雇用が促進されます。さらに、外材の輸入金額の削減によって、貿易収支の赤字に苦しむ日本経済を救うことも期待できます。
 いま、林野行政のなかでも、日本林業の再生が計画されています。この計画の成否を支配している路網の整備にはお金がかかりますが、林業家の多くには、その資金を負担する余力がありません。したがって、結局は、在来の林野行政のなかで進められてきた補助金依存の体制が継続されることになりかねません。しかし、この路網整備の費用を、補助金ではなく、国産材を市場に運び出すための国による先行投資とみなせば、国民のお金(税金)を使うことが許されるはずです。路網が整備されて、森林から国産材が安価に運び出されることで、その使用量が増え、その分、外材の輸入金額が削減できれば、結果として貿易収支が改善されますから、長期的な視野に立った国益につながります。ここで林地から運び出される木材は、建設用材として使用される主伐材だけでなく、いままで利用されてこなかった間伐材や林地残材等を含んでいます。これらのすべてが林地から搬出され、総合的に有効利用されることで林業の採算性が成立する森林面積が増加します。すなわち、今まで補助金で支えられてきた林業が再生されるのではなく、持続可能な、補助金に依存しない新しい林業が創生されるのです。本書では、この林業の創生を、東日本大震災の被災地の東北地方でのモデル事業として、全国に先駆けて行うことを提言します。

担当から一言

木質バイオマス発電等の陥穽を突き、被災地を含めた林業創生のビジョンを示す!