森と木と人のつながりを考える

 

財産区のガバナンス

自然科学

古谷健司(著/文 他)

A5判  260ページ 並製
定価 2,750円 (本体価格 2,500円)
ISBN978-4-88965-234-5 C0061
絶版

奥付の初版発行年月 2013年10月
書店発売日 2013年10月07日

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解説

財産区とは何か? 詳細な実態調査に基づき、その本質とあるべき姿を描き出した労作。

紹介

財産区とは何か? 詳細な実態調査に基づき、その本質とあるべき姿を描き出した労作。

目次

刊行に寄せて  小池正雄 3
まえがき 5

第1章 序論 13
第1節 里山における地域の自然資源管理 15
1.里山地域の自然資源管理 15
2.茅野市における里山整備活動による自然資源管理とその課題 20
第2節 入会林野の所有形態の1つとしての財産区 25
1.入会林野 25
2.財産区 27
第3節 財産区の観光的利用による開発 29
1.高度経済成長期における茅野市域の入会林野の変容 29
2.高度経済成長期に茅野市において推進された観光開発 32
第4節 自然資源管理のガバナンス 37
1.地域の自然資源管理の枠組み 38
2.財産区の利用と所有の分離による新たな枠組みの構築 39

第2章 里山の担い手である山村集落の変容 47
第1節 はじめに 49
第2節 戦後の中山間地域における山村社会の変化 50
1. 中山間地域とは 50
2. 1960(昭和35)年頃から始まる高度経済成長期 51
3. 高度経済成長期以降 51
4.中山間地域における社会的・経済的変化 52
第3節 茅野市・白井出区における山村生活の変遷と現状 52
1. 白井出区の沿革 53
2. 白井出区の概要 55
3.「白井出区の宝もの」アンケート調査結果 59
4. 白井出区の現状 63
第4節 白井出財産区 64
1. 白井出財産区の沿革 64
2. 白井出財産区のいま 65
第5節 白井出区における課題と展望 67

第3章 財産区制度の特殊性に関する一考察 75
第1節 はじめに 77
第2節 調査地の概要 78
第3節 茅野市域における入会山の変遷と町村とのかかわり 82
1.茅野市域における入会山の変遷 82
2.町村合併の際の入会山と町村とのかかわり 88
第4節 財産区の持つ「公」と「共」の2つの側面 94
1.財産区制度 94
2. 不明瞭な財産区の「公」と「共」 98
第5節 考察 102

第4章 財産区の観光的利用に関する一考察 113
第1節 はじめに 115
第2節 調査地の概要 115
第3節 入会山と観光開発 118
1.蓼科高原別荘地を構成する3入会山の変遷  118
2.第1次リゾート開発ブーム時の茅野市域の観光開発 123
第4節 蓼科高原における入会山(財産区)の現状 127
1.池の先行研究の検討 127
2. 3入会山における観光的土地利用の展開 129
3. 3入会山(財産区)が観光的土地利用を決断した理由 132
4. 大手資本による外来型開発 133
5.13財産区の財務状況 133
第5節 茅野市財産区がかかわる観光的土地利用 139
1. 茅野市48財産区の全容 140
2. 茅野市財産区特別会計決算書からみた特徴 142
第6節 考察 146

第5章 外来型開発地域における社会的・経済的開発効果の検証 153
第1節 はじめに 155
第2節 調査地の概況 157
1.蓼科高原と蓼科高原三井の森別荘地 157
2.南大塩区及び財産区の概況 161
第3節 蓼科高原における別荘地開発の展開 164
1.県の観光開発事業が果たした役割 164
2.高度経済成長に伴う経済面・社会面の変化 165
3.当該8財産区における別荘地開発の意思決定 165
第4節 三井の森別荘地開発の特徴 166
1.三井の森別荘地開発の展開とその特徴 166
2.三井の森別荘地開発と地元財産区 171
3.三井の森別荘地の取り組みとその立地条件 172
第5節 考察 172

第6章 白樺湖周辺における観光開発の展開構造 181
第1節 はじめに 183
第2節 調査の概要 185
第3節 調査結果 186
1.調査地の概要 186
2.白樺湖周辺における観光開発の展開 190
第4節 考察 200
1.柏原区民による内発的開発の推進とその限界 201
2.柏原区の財務強化と柏原区民への分配機構の整備 202
3.開発主体不在の乱開発による白樺湖の環境悪化 203
4.柏原区の在来住民と白樺湖区の移住者の関係悪化 204
第5節 おわりに 205

第7章 国有林と財産区有林の併存する地域の森林と人間の関係に関する一考察 211
第1節 はじめに 213
第2節 調査地の概要 215
1.金沢地区と国有林及び財産区のかかわり 215
2.国有林及び財産区の併存する金沢地区の特徴 217
第3節 金沢山国有林と共用林制度 220
1.総代制度と総代に主導された事業 220
2.金沢山国有林の払い下げ運動と共用林制度 221
第4節 金沢財産区の管理・運営と事業活動 223
1.金沢財産区の管理・運営 223
2.金沢財産区が関与する事業活動 225
3.金沢財産区特別会計からみた財産区の歳入と歳出の実態 227
第5節 考察 231

第8章 課題と提言 237
第1節 事例分析の結果から浮かび上がる課題 239
1.茅野市で推進された3つの観光開発の課題 239
2.財産区の今後のあり方 247
第2節 財産区のガバナンスに関する提言 250

参考文献 253

前書きなど

 かつて農林業を基幹産業とした地域では、高度経済成長期における担い手の流出により、農林業及び地域社会の衰退が決定的になった。その結果、農山村と森林のかかわりが希薄になり、森林の整備が放棄され、停滞から停止状態にあるといっても過言ではない状況に至っている。このような状況下の農山村において地域再生と自然資源の保全を今後誰が担っていくのかという課題に直面しているが、入会林野近代化政策の中で自己の選択として財産区という形態を選び、地域の森林資源を管理・運営してきた財産区は、その役割を担い得る最も近いところに位置しているといえる。
 財産区とは何なのか。財産区の入会林野における位置づけ及び財産区の存在意義、そしてまた財産区が現在抱いている課題は何なのか、財産区はどこへ向かおうとしているのか、その先に展望を見出すことができるのか、といった課題を考究することを本書の目的とした。

版元から一言

財産区とは何か? 詳細な実態調査に基づき、その本質とあるべき姿を描き出した労作。

著者プロフィール

古谷健司(フルタニケンジ)

上記内容は本書刊行時のものです。

2,750円
(本体価格 2,500円)

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