新刊

これからの森林環境保全を考えるⅡ


欧米諸国の森林管理政策

改革の到達点


欧米諸国の森林管理政策
柿澤 宏昭
A5判 190ページ 並製
ISBN978-4-88965-255-0 C0061
在庫あり
奥付の初版発行年月:2018年06月
書店発売日:2018年06月24日

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内容紹介

環境と経済の両立という難問に欧米諸国はどう対応しているのか。日本が範とすべき改革の実像を描く。『日本の森林管理政策の展開』と同時出版!

目次

第1章 欧米諸国の森林管理政策分析の視点 5
第2章 ドイツ 13
 第1節 連邦レベルの森林管理政策 14
  第1項 森林・環境法制度の展開 14
  第2項 連邦レベルの森林法制度と森林管理政策 19
  第3項 連邦レベルの自然保護法制度と政策 28
 第2節 バーデン・ヴュルテンベルク(BW)州における森林管理政策 32
  第1項 BW州の自然保護法制度と保護地域の設定 32
  第2項 BW州の森林管理政策 39
第3章 フィンランド 55
 第1節 森林政策と環境保全政策の展開過程 56
 第2節 森林政策と自然環境政策の概要 60
 第3節 森林管理政策の具体的な内容 66
 第4節 森林環境保全をめざした取り組み 74
第4章 スウェーデン 81
 第1節 森林政策と自然環境政策の展開過程 82
 第2節 森林政策と自然環境政策の概要 85
 第3節 森林管理政策の具体的内容 90
第5章 フランス 103
 第1節 森林・環境政策の展開過程 104
 第2節 森林法典と森林行政組織 107
 第3節 森林管理政策の具体的な内容 111
第6章 アメリカ合衆国 125
 第1節 森林管理政策の概要 126
 第2節 連邦水質浄化法と州森林管理政策 129
  第1項 公的関与は普及指導などに限定する州 129
  第2項 事業体などの認定制度をもっている州 134
  第3項 水質保全のための施業規則化を行っている州 140
 第3節 独自の森林管理政策の仕組みを展開している州 142
  第1項 カリフォルニア州における森林管理政策 142
  第2項 ワシントン州における森林管理政策 156
第7章 総括と日本への示唆 169
おわりに 187

前書きなど

●「本書の目的」から
 欧米諸国は、森林を含めた自然資源管理の仕組みを大きく転換し、生物多様性保全など現代的課題に応える仕組みをつくりあげようとしてきている。例えば、ドイツでは1970年代より環境保全の重要性が認識され、環境を組み込んだ森林法体系が形成されてきた。アメリカ合衆国カリフォルニア州でも自然保護運動の大きな影響を受けて、環境保全のための包括的な森林施業規制制度が策定されてきた。また、1990年代からはエコシステムマネジメントという新しい概念のもと、連邦政府の自然資源管理の方針が抜本的に転換してきている。1990年代以降には欧州各国で環境対応を含めた森林法制度の改革が行われてきた。フィンランドは1993年、スウェーデンは1997年、フランスは2001年に森林法を抜本的に改正し、生物多様性保全など環境保全を森林に関わる制度・政策に組み込み、現場での実効性を確保するための施策を展開してきている。
 欧米諸国において環境対応が進んできた要因としては、第1に生物多様性などの科学的知見の深化に伴って新たな森林環境保全の措置が求められるようになったこと、第2に環境保護団体や世論の変革要求が高まったこと、第3に1992年の地球サミット等をきっかけとして環境保全が重要な政策課題として認識されてきたこと、第4に欧州諸国を中心にして認証材など環境に配慮して生産された製品が要求されるようになったことがあげられよう。このように国内外の環境変化や変革圧力に対応して、欧米諸国は現代的な課題に応える持続的な森林管理の仕組みをつくりあげようとしてきた。
 このような欧米諸国の動向は、木材生産や水源涵養・保健休養などこれまでも期待されてきた多面的機能の維持・増進とともに、生物多様性保全など新たな課題に応える森林管理を達成しようとしているといえ、本書ではこのような現代的な課題に応える持続的な森林管理を民有林において支える政策を森林管理政策と称する。
 本書と対をなすものとして出版した『森林管理政策の系譜』において述べたように、欧米諸国と対比して、日本では現代的課題に対する大きな制度改革・変革を行っているとはいえず、また森林管理政策は行き詰まっており、これまでの延長線上で展望を描くことはできない。長期的に新たな方向性を構想することが求められ、そのうえでどのように次の一歩を踏み出すのかを考える必要がある。改めて森林法制度・政策の枠組みを検討することが必要とされている。
 新たな方向性を構想するうえで、他国においてどのように森林政策が形成・改革され、どのような仕組みを持っているのかという情報は重要である。上述のように、欧米諸国においては、生物多様性保全など現代的な課題に関わって森林政策体系の大きな転換を行ってきている。そうした点で、海外の多様な社会・経済・自然条件の中で形成されてきた森林政策と環境保全に対する取り組みを分析し、そこから何を学べるのかの検討を行うことが重要である。そこで、本書では欧米諸国における森林管理を確保する法制度・政策及びそれを実行する組織を比較検討しつつ、どのように現代的な課題に応える仕組みをつくり上げてきたのかを明らかにし、日本が学ぶべき点について指摘する。

担当から一言

環境と経済の両立という難問に欧米諸国はどう対応しているのか。日本が範とすべき改革の実像を描く。『日本の森林管理政策の展開』と同時出版!