森と木と人のつながりを考える

 

地球温暖化と森林ビジネス 第3版
「地球益」をめざして

小林 紀之(著)

A5判  248ページ 並製
定価 2,096円 (本体価格 1,905円)
ISBN978-4-88965-159-1 C0061
絶版

奥付の初版発行年月 2005年08月
書店発売日 2005年08月30日

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解説

京都議定書の発効を受けて、好評の前版を全面改訂。第2約束期間(ポスト京都)に向けた展望を加えました。

紹介

京都議定書の発効を受けて、好評の前版を全面改訂。第2約束期間(ポスト京都)に向けた展望を加えました。

目次

1 基礎編 11
 1−1 地球温暖化は本当に進んでいるのか? 13
  (コラム)地球温暖化のメカニズム 13
  (コラム)日本は猛暑・豪雨の国になると予測 15
 1−2 気候変動枠組条約とは? 16
  (コラム)「地球環境問題」と「国際環境条約」の課題  19
 1−3 京都議定書とは? 21
  (コラム)日本の基準年排出量は12億3,690万トン(CO2換算) 22
 1−4 IPCCが評価した森林・木材の温暖化防止機能とは? 24
  (コラム)二酸化炭素トンと炭素トン 26
 1−5 温室効果ガスの削減目標と森林との関係は? 27
  (コラム)日本の森林は自家用車4,500万台分のCO2を吸収している 29
  (コラム)世界の森林は重要な炭素貯蔵庫 30
 1−6 日本の森林に見込まれているCO2吸収量は? 31
 1−7 京都議定書上の「森林経営」活動とは? 33
  (コラム)「森林」の定義 35
 1−8 伐採木材(HWP)の取り扱いは? 37
  (コラム)木材住宅1軒で国民2人分のCO2排出を相殺 38
  (コラム)木材中の炭素量を求める算式 41
 1−9 京都メカニズムとは? 42
 1ー10 排出量取引(ET)とは? 44
 1−11 共同実施(JI)とは? 47
 1−12 クリーン開発メカニズム(CDM)とは? 48
  (コラム)JIとCDMの先駆け、DNとSAIJ 49
 1−13 環境税(温暖化対策税、炭素税)とは? 50
 1−14 環境税は導入されるのか? ①海外の状況 52
 1−15 環境税は導入されるのか? ②日本の状況 55
 1−16 木質バイオマスとは? 59
  (コラム)追い風として期待されるRPS法 61
  (コラム)地域に密着した葛巻町と上石津町の挑戦 63
 1−17 炭素権とは? 65
  (コラム)下川町有林のCO2売却構想に対する見方 66

2 活用編 71
 2−1 クリーン開発メカニズム(CDM)を行うには? 73
  (コラム)世界的な広がりをみせるCDM事業 75
 2−2 CDMプロジェクトの計画を策定するには? 76
  (コラム)CDMの関連組織 77
 2−3 CERはどのように発行・分配されるのか? 78
 2−4 指定運営機関(DOE)になるには? 80
  (コラム)DOEの役割と責任 82
 2−5 バリデーター、ベリファイヤーになるには? 84
  (コラム)ISOにおける温室効果ガス関連の新規格 84
 2−6 どの指定運営機関(DOE)を選べばいいのか? 87
  (コラム)プロジェクトの「スコープ」 88
 2−7 CDM植林とは? ①アカウンティング 90
  (コラム)再植林の基準年 92
 2−8 CDM植林とは? ②非永続性 94
  (コラム)COP9におけるCDM植林に関する議論の経緯 97
  (コラム)CDMの基本分類(排出源・吸収源・通常規模・小規模) 96
 2−9 CDM植林とは? ③クレジット発生期間 99
  (コラム)追加性 100
 2−10 CDM植林とは? ④ベースライン、リーケージ 101
  (コラム)バウンダリー 102

 2−11 CDM植林とは? ⑤社会経済的・環境的影響 103
  (コラム)侵入性外来樹種とGMO 104
 2−12 CDM植林とは? ⑥小規模CDM植林プロジェクト 105
 2−13 共同実施(JI)を行うには? 110
 2−14 JIプロジェクトの計画を策定するには? 112
  (コラム)JI(第2トラック)の関連組織 112
 2−15 ERUはどのように発行・移転されるのか? 114
 2−16 排出量取引(ET)を行うには? 116
 2−17 二酸化炭素(CO2)の市場価格は? 118
  1 限界削減コスト 118
  2 需給バランス 120
  3 将来のCO2市場価格 121
 2−18 森林吸収源対策に取り組むには? 123
 2−19 森林吸収源対策に貢献する森林経営(施業)とは? 126
 2−20 森林の二酸化炭素(CO2)吸収量を算定するには? 130
 

3 展望編 135
 3−1 世界のカーボンマーケットと排出量取引(ET) 137
  1 京都マーケット 138
  2 ノン京都マーケット 139
  3 リテール・マーケット 140
  4 英国の排出量取引制度(UKスキーム) 140
  5 EU域内排出量取引制度(EU ETS) 144
  (コラム)米国のシカゴ気候取引(CCX) 139
  (コラム)グリーン・インベストメント・スキーム(GIS) 145
 3−2 森林炭素取引を仲介するコンサルタント 147
  1 ヤコ・ペリ社 147
  2 トレクスラー・アンド・アソシエーツ社 149
  3 三菱証券 150
 3−3 世界銀行の炭素基金 152
  1 プロトタイプ炭素基金(PCF) 152
  2 バイオ炭素基金(BCF) 153
  (コラム)カトゥーンバ会議 154
  (コラム)世界銀行が指摘する期限付きクレジットの長所と短所 157
 3−4 オーストラリアの植林政策 158
  (コラム)ニューサウスウェールズ州のポートフォリオ方式 159
 3−5 ビクトリア州の炭素権取引 165
  1 ビクトリア州の森林政策 165
  2 グリーン・トライアングル地域の植林事情 168
  3 プロスペクタス——ハンコック社の取り組み 170
  (コラム)炭素権を巡る日本国内での主要な論点 167
  (コラム)日本企業が進めている植林事業の仕組み 169
  (コラム)コスモ石油の排出権販売 170
 3−6 日本企業の海外植林事業 173
  (コラム)7社の異業種連合による大規模植林プロジェクト 176
 3−7 CDM植林プロジェクトの課題と展望 177
  1 CDMプロジェクト全般の現状 177
  2 CDM植林プロジェクトの現状——CDM理事会提出案件の分析 178
  3 CDM植林プロジェクトの審査の現状 181
  4 CDM植林の追加性ツール(案) 182
 3−8 CDM植林と産業植林 185
  1 日本企業の途上国での産業植林上の障害 185
  2 日本企業による新たな造林方式 186
  3 小規模CDM植林プロジェクトの産業植林への適用 188
  4 事業者の責任期間 188
  5 事業者にとってのメリット 189
 3−9 日本国内の排出量取引(ET) 191
  1 環境省の自主参加型排出量取引制度 191
  2 地方分権研究会、東京都、埼玉県の検討状況 193
  3 企業内での排出量取引 194
  (コラム)三重県のCO2排出量取引制度提案事業 192
 3−10 森林吸収量取引試行事業 196
 3−11 日本政府の京都メカニズム支援施策 201
  1 京都メカニズム活用連絡会 201
  2 CDM/JIに関する検討調査委員会 204
  3 京都メカニズムに関する検討会 205
  4 吸収源対策の第三者認証制度の試行事業 205
  5 インドネシアにおける植林の評価方法に関する調査 206
  6 CDM、JI植林推進検討ワーキンググループ 207
  7 林野庁によるCDM植林関連事業 207
  (コラム)日本政府が設置している相談窓口 206
 3−12 第2約束期間に向けて① 途上国と米国の参加 208
  1 途上国段階的参加方式 209
  2 ブッシュイニシアティブ方式 210
  3 ブラジル提案 210
  4 技術開発普及を中心とした将来枠組みのシナリオ  211
  (コラム)注目される途上国支援としてのadaptation(「適応措置」) 212
 3−13 第2約束期間に向けて② 炭素市場とCDMの課題 214
  1 炭素市場の需給のバランス 214
  2 限界削減費用と炭素市場価格との対比 216
  3 CDMの制度設計上の問題 217
 3−14 第2約束期間に向けて③ 森林吸収源の課題 219
  1 ワークショップの目的、参加者など 219
  2 検討テーマ——第2約束期間における吸収量の計上方 220
  3 伐採木材(HWP)の将来枠組みに関する検討 222
  4 今後の検討の方向性 223
  (コラム)これからのIPCCに期待される役割 222

参 考 225
  1 CDM植林のプロジェクト形成やプロジェクト設計書(PDD)作成に関する最近の動向 227
  2 用語解説 232
  3 地球温暖化関連WEBサイト 239
  4 引用・参考文献 241

前書きなど

第3版の刊行にあたって(抜粋)
本書の新訂版を出版してから1年余りがすぎた。この間、京都議定書が発効し、気候変動、あるいは地球温暖化防止への世界の動きにはずみがついた。その1つが2005年7月開催された主要国首脳会議・G8グレンイーグルズサミットで気候変動が主要議題になったことである。これを踏まえ、第3版では第3章を新たに「展望編」とし世界の様々な動きや第2約束期間(2013年以降)の取り組みについて書き下ろした。
 気候変動に関する国際交渉の関心は、京都議定書の第1約束期間(2008年〜2012年)終了後の2013年以降(「ポスト2012」、「ポスト京都」、「ポスト京都議定書」などの略称が使われている)を睨んだ将来の枠組みづくりに移っている。2013年以降の検討の焦点は、京都議定書を継続して2013年以降を第2約束期間とするか、あるいは京都議定書にこだわらない新たな枠組みを検討するか——に大別される。これにからんで、途上国や米国の参加問題や温室効果ガスの削減目標を義務とするか、自主的取り組みとするかなどが重要な論点となっている。
 ここで忘れてはならないのは、2013年以降の枠組みの検討は189の国と地域が批准している気候変動枠組条約の旗の下で、各国の責任や義務をどのように定めるかが問われているという点である。京都議定書は、同枠組条約の具体的取り組みを定めた第1歩であり、2013年以降の第2歩、そして第3歩について、人類がどのような路線を選択するかをここ数年で決める必要がある。筆者は京都議定書を継続し第2約束期間として取り組むことが最善と考えているが、日本としても様々な選択肢を検討し国際交渉に臨むべきであろう。
 また、将来の枠組みを検討するにあたっては、森林吸収源問題も、途上国の参加問題と深くかかわる重要課題である。多くの途上国では森林減少が続き、京都議定書の規定からすれば二酸化炭素(CO2)の排出源となってしまう。したがって、途上国が参加できる新たな枠組を目指すべきである。               
2005年8月
小林紀之

著者プロフィール

小林 紀之(コバヤシ ノリユキ)
日本大学法科大学院教授

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上記内容は本書刊行時のものです。

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