森と木と人のつながりを考える

 

日本軍政と南方占領地林政

萩野 敏雄(著)

A5判  250ページ 上製
定価 4,715円 (本体価格 4,286円)
ISBN978-4-88965-093-8 C3061
絶版

奥付の初版発行年月 1997年10月
書店発売日 1997年10月01日

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紹介

大平洋戦争下の南方占領地林政の実像を、さまざまな資料をもとに明らかにした初めての書。アジアの森林問題を考える上で原点となる史実がまとめられています。

目次

序  論 戦後の南方問題
 1.前史、<北方>占領地林政
 2.日本における<南方>
  1 地域の概要
  2 官庁海外林業調査からみた南方
  3 林業企業の進出
 3.太平洋戦争への傾斜
  1 蘭印経済交渉と対日本経済包囲網
  2 開戦準備と軍基本方針

第1部 占領地林政の展開
 序 章 戦争
  1 戦況の推移
  2 開発派遣第1陣の悲劇、大洋丸
 1.軍政体制
  1 中央行政官庁の方針
  2 基本的枠組と実施
 2.陸軍主担当地区の林政
  1 概要
  2 フィリピン地区(間接統治)
  3 ビルマ地区(間接統治)
  4 その他4地区(直接統治)
 3.海軍主担当地区の林政
  1 概要
  2 南ボルネオ地区(間接統治)
  3 ニューギニア地区(間接統治)

第2部 代表的企業の展開
 1.総合商社の事業過程
  1 三井物産株式会社
  2 安宅産業株式会社
 2.日本製鉄株式会社の事業過程
  1 木炭銑事業の登場
  2 情報収集と進出決定
  3 南方における新規事業
 3.王子製紙株式会社の事業過程
  1 戦前期の南方パルプ材問題
  2 陸軍の製紙企業指令方針
  3 進出をめぐる社内動向
  4 広域展開の顛末

前書きなど

 大平洋戦争下の南方占領地林政の史的研究、それは敗戦より半世紀を経過したにもかかわらず、まだ誰からもとりあげられていない。まったく空白のまま推移してきたが、現状から類推すると、そのような状況はまだこれからも続きそうである。いったい、それは何に起因するのか。
 最大の理由は、戦前から続いてきた研究対象地域にかんする、発生主義でなく、中枢主義ともいえる設定方法に求められよう。
 わが国の領土は、明治期より敗戦にいたるまでの間、まさに膨張の一途をたどった。したがって、とうぜんながら林政史研究はそれら発生地域のすべてを対象とすべきものである。だがこれまでの研究動向をみるに、対象は本国(内地)林政に集中しており、植民地(外地)及び半植民地林政についてはふれたばあいでも簡単な行政的記述にひとしい。まして内発的研究の蓄積は皆無である。このことから容易に類推されるように、占領地(南方・北方)林政にいたっては、そのような研究対象領域の存在すらこれまで認識されていなかったといってよい。だがそれは、理論的にもまた実際的にも大きな誤りであり、是正されなければならない。

版元から一言

1次資料を丹念に分析する著者のポリシーが貫かれています。

著者プロフィール

萩野 敏雄(ハギノ トシオ)

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上記内容は本書刊行時のものです。

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