造林の歴史
木を植え森を育てた日本人
松本寛喜(著/文 他)
B5判 292ページ 並製
価格 5,500円 (本体価格 5,000円)
ISBN978-4-88965-281-9 C0061
在庫あり
書店発売日 2026年02月05日
解説
神話の時代から現代に至る森林づくりの歩みをまとめた初めての書!
紹介
神話の時代から現代に至る森林づくりの歩みをまとめた初めての書!
目次
『造林の歴史』の刊行に寄せて
はしがき
1 神話時代
1 古代日本の森づくり 1
2 小括 2
2 弥生時代
1 魏志倭人伝にみる日本の森林 3
2 木材の利用 3
3 山守部と大山守命 3
4 樹木の植栽 3
5 小括 4
3 古墳時代から奈良時代まで
1 木材需要の高まりと森林伐採 6
2 森林保全のはじまり 7
3 林野の利用 8
4 樹木の植栽 9
5 小括 11
4 平安時代
1 木造建築と木材の調達 14
2 森林保全を巡る動き 14
3 地方権力者の林野への進出と山林所有の例外規定 16
4 造林のはじまり 17
5 小括 19
5 鎌倉時代
1 木造建築と木材の調達 21
2 森林の伐採と洪水の発生 22
3 林野の利用 22
4 森林保全を巡る動き 23
5 造林の実績 23
6 小括 24
6 南北朝時代から室町時代まで
1 木材加工技術の発達と木材生産 26
2 木造建築と木材の調達 27
3 森林保全を巡る動き 28
4 造林の実績 29
5 小括 30
7 安土・桃山時代
1 木造建築と木材の調達 33
2 森林保全を巡る動き 33
3 造林の実績 34
4 小括 36
8 江戸時代
1 はじめに 37
2 造林事例
2-1 造林功勞者事績による個人の造林事例 40
2-2 有名林業地帯における造林事例 47
3 造林政策
3-1 幕府の造林政策 58
3-2 諸藩の造林政策 63
4 造林技術
4-1 種子 76
4-2 苗木 77
4-3 植立(新植) 78
5 造林思潮
5-1 幕藩の家臣、役人等の造林思潮 82
5-2 儒学者の造林思潮 85
5-3 農学者の造林思潮 86
6 小括 89
9 明治時代
1 はじめに 95
2 明治前期(主として明治10年代まで)
2-1 幕藩有林の官林への編入 96
2-2 官林の払下げ 96
2-3 官林の払下げ停止と士族授産 98
2-4 地所名称区分と入会慣行 98
2-5 荒廃する森林 99
2-6 官林規則の制定 99
2-7 顕在化する木材不足 101
2-8 新政府による治山治水 101
2-9 森林保全に向けた国の動き 102
2-10 府県による植樹奨励 104
2-11 官林での造林 104
2-12 民間による造林 105
2-13 北海道における造林 106
3 明治中期(主として明治20年代)
3-1 広がる造林への投資 108
3-2 内国勧業博覧会と吉野林業 108
3-3 各地域での植林 110
3-4 資本家等による造林 112
3-5 官林における造林 114
3-6 御料林における造林 115
3-7 北海道における造林 115
3-8 府県による植樹奨励と民有林組合等の発足 116
3-9 荒廃する公有林 117
4 明治後期(昭和30年代から明治末まで)
4-1 木材需要の増加と用材生産 119
4-2 森林法の制定 121
4-3 国有林の特別経営事業のはじまり 124
4-4 御料林における造林 127
4-5 砂防植栽 127
4-6 特殊用材の造林 129
4-7 府県による造林の奨励 130
4-8 府県や町村による模範林の設定と造林 131
4-9 公有林野への造林 132
4-10 北海道における造林 135
4-11 紙パルプ産業による造林 136
4-12 大水害の発生と森林治水事業のはじまり 137
4-13 学校造林と記念林造成 138
4-14 鉄道防雪林 139
4-15 外地での植林 139
5 小括 142
10 大正時代から戦前戦中まで
1 はじめに 145
2 木材需要の増加と木材価格の上昇 145
3 停滞する造林 148
4 造林促進に向けた動き 149
5 官行造林事業のはじまり 150
6 森林組合による造林 152
7 増大する外材輸入 153
8 造林に対する国の補助 155
9 関税の引き上げと造林施策の拡充 156
10 森林治水事業による公有林野への造林 157
11 国有林における一斉造林の見直しと択抜天然更新 158
12 御料林における造林地の不成績調査 159
13 不成績造林地の発生と林業種苗法 160
14 北海道における造林 161
15 紙パルプ産業による造林 163
16 記念部分林と御大禮記念造林 165
17 植林運動と愛林日 166
18 救農土木事業と造林 167
19 第二期森林治水事業による公有林野への造林 169
20 企業や大手資本家による造林 171
21 樺太における造林(官民による造林) 172
22 樺太における造林(紙パルプ産業による造林) 172
23 台湾における造林 173
24 千島列島における造林 173
25 大陸における造林 174
26 木材統制法と兵力伐採 176
27 国有林の増伐 178
28 造林運動の展開と戦時森林資源造成法 179
29 学徒動員とお山の杉の子 181
30 小括 183
11 戦後(その1)
1 はじめに 187
2 森林資源の喪失 187
3 占領体制下での林政のはじまり 188
4 林野所有制限を巡る動き 188
5 終戦直後の木材需給 190
6 証券造林と緊急開拓による造林地の買収 192
7 造林臨時措置法の制定 194
8 森林法の改正と民有林造林10ヶ年計画 196
9 カーチャー勧告と報告書「FORESTRYINJAPAN,1945-51」 198
10 苗木生産の増大とGHQによる技術勧告 201
11 木材需要の増大と造林の進展 202
12 せき悪林地改良事業と講和記念造林事業 204
13 林政統一と対日援助見返資金による造林の推進 205
14 水害の発生と水源林造成事業 206
15 紙パルプ産業による造林 207
16 挙国造林に関する決議と全国植樹祭 208
17 学校植林と記念植樹 211
18 小括 212
12 戦後(その2)
1 はじめに 217
2 エネルギー革命による薪炭生産の急減と造林の進展 217
3 立木価格の上昇と造林 219
4 国営造林構想と公有林野等官行造林法 221
5 森林開発公団による奥地林の開発と造林 221
6 拡大造林と民有林造林長期計画 222
7 小規模経営農家による造林 224
8 焼畑から造林地への転換 228
9 紙パルプ産業による造林と分収造林特別措置法の制定 229
10 木材価格の高騰と木材価格安定緊急対策 231
11 国有林生産力増強計画と木材増産計画 235
12 木材増産計画による国有林の造林 237
13 拡大造林の推進と人工林面積の見通し 239
14 森林組合による造林事業 240
15 北海道国有林の造林とパイロットフォレスト 242
16 官行造林事業の終焉 243
17 県行造林と県有林 244
18 人工造林の停滞 245
19 森林開発公団による水源林の造成 248
20 造林公社による造林 249
21 団地造林 251
22 林木育種事業のはじまりと林業種苗法の改正 252
23 カラマツの先枯病 253
24 多様な植栽方法 253
25 木材価格の高騰と造林面積の減少 254
26 育林に対する国の補助と全国育樹祭 255
27 小括 256
附表1 林野面積 265
附表2 人工林面積 266
附表3 人工造林面積 267
附表4 樹種別人工造林面積 270
附表5 立木伐採面積 272
附表6 木材需給表 274
附表7 山元立木価格 276
索引 277
あとがき
トピックス
1 入会地における植林の制約 55
2 天城山の御礼杉と冥加植栽 62
3 赤沼田天保林と木境 62
4 伊達政宗と植林 71
5 挿し木造林のはじまりと飫肥藩による造林 72
6 明暦の大火と農民による反発 73
7 逼迫する木材需給と造林 74
8 都市周辺での苗木生産 81
9 明治初期における木材産地 93
10 幻と消えた官林の払下げ 97
11 横須賀造船所における造修船用材 103
12 『吉野林業全書』に添えられた奈良県知事の序文 109
13 丸鋸機の普及 121
14 明治百年記念農林漁業先覚者顕彰 143
15 スギ・ヒノキは特産樹の添え物だった 149
16 高野山における大正期の造林事業 168
17 明治・大正期の造林功労者 186
18 林業六〇年の回想 一林家として、森林組合長として 190
19 対馬林業公社の設立 250
20 機関造林と森林組合 251
21 全国有名林業地表 261
前書きなど
「刊行に寄せて」から
「森の国」と称される日本では、遠く神話の時代から木を植え育てる「造林」の営みが脈々と続けられてきました。今日、国内には1千万haに及ぶ広大な人工林が広がり、世界有数の森林資源を形成しています。その礎を築いてきた先人たちのたゆまぬ努力に、改めて深い敬意を表します。
こうした日本人による造林の歴史については、これまでも多くの専門書や報告書を通じて紹介されてきました。しかし、長い時代の流れを俯瞰し、通史的にその歩みを一冊にまとめた著作は、これまでほとんどありませんでした。その通史を神話の時代から現代まで、一人の著者の視点で記したのが、本書『造林の歴史』です。
著者の松本寛喜さんは、名古屋大学を卒業後、林野庁に入庁し、林野技官として本庁のほか中部、近畿中国、四国の各森林管理局や森林総合研究所などで要職を歴任されました。退職後は、明治神宮(東京都渋谷区)の林苑主幹として境内林の管理に従事されています。日本の森林の成り立ちに求知心を抱いた松本さんが、十年余にわたる歳月をかけて本書を完成されたことに、心から敬意を表したいと思います。
日本の森林はいま、戦後に造成された人工林が伐採期を迎える一方で、生物多様性の観点から重要性が高まっている天然林の適正な管理が求められるなど、新たな転換期を迎えています。こうした現状のなかで、私たちは改めて「森の歴史」から学び、未来により豊かな森林を引き継いでいく責任を負っています。
本書は、そのための指針となる貴重な一冊です。森に関わる方々はもとより、広く一般の読者の皆さまにとっても、森と人との関わりの深さを再認識する契機となることでしょう。多くの方々の手に取られ、次代の森づくりへの理解と関心がさらに広がることを願ってやみません。
2026(令和8)年1月吉日
公益社団法人大日本山林会
会長
沢田 治雄
著者プロフィール
松本寛喜(マツモトヒロキ)
1964年、神奈川県出身。名古屋大学農学部林学科を卒業後、1986年に林野庁に入庁し、林政課広報官、森林保全推進室長、中部森林管理局森林整備部長、森林総合研究所総務部長、四国森林管理局森林整備部長等を経て、2024年に近畿中国森林管理局次長で退職。
現在は、明治神宮(東京都渋谷区)にて境内林の管理を担当。
取得資格は、技術士(森林部門・総合技術監理部門)、第1種衛生管理者、ウイスキー検定2級など。
趣味は、オートバイとロードバイク、社寺や植物圓巡り。 上記内容は本書刊行時のものです。
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