海外・国際問題3

世界の木材貿易構造


世界の木材貿易構造
村嶌 由直 編著, 荒谷 明日兒 編著,
A5判 300>ペー>ジ 並製
ISBN978-4-88965-117-1 C3061
品切(絶版)
奥付の初版発行年月:2000年02月

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内容紹介

「自由貿易」と「環境問題」の狭間で、複雑な綱引きが展開されている木材貿易。刻々と姿を変えるその全体像を初めて描き出しました。主要林産国と多国籍企業の戦略も最新データで分析。

目次

第1章 世界の木材需給と生産の担い手構造(村嶌由直)
 第1節 世界の森林資源
 第2節 世界の木材需給
 第3節 木材企業の国際的展開

第2章 世界の木材貿易の現状と特徴(荒谷明日兒)
 第1節 人工林材化と高付加価値製品化
 第2節 FAO統計からみた生産・貿易構造の変化
 第3節 わが国における輸入構造の変化

第3章 世界の木材貿易と環境問題(荒谷明日兒)
 第1節 環境問題の大きな変化
 第2節 木材貿易とITTO
 第3節 森林・木材認証と木材貿易
 第4節 環境問題と自由貿易

第4章 北米の木材産業と貿易構造(武田八郎・加藤滋雄・大田伊久雄)
 第1節 北米の木材需給
 第2節 カナダの木材産業と貿易構造
 第3節 アメリカの木材貿易構造
 第4節 北アメリカの環境問題と木材産業
 第5節 木材貿易をめぐる政治経済問題

第5章 東南アジアの木材貿易と産業(荒谷明日兒)
 第1節 東南アジアにおける木材産業の展開
 第2節 フィリピン−木材産業の開花以前に枯渇した資源
 第3節 合板産業によるインドネシアの木材加工工業化
 第4節 インドネシアに遅れたマレーシアの木材加工工業化

第6章 ロシアの木材産業と貿易(柿澤宏昭)
 第1節 ロシアにおける森林資源の動向
 第2節 森林伐採の動向
 第3節 林産業の動向
 第4節 木材貿易と海外投資の動向

第7章 南半球の人工林材輸出−ニュージーランド、チリ、南アの事例−(柳幸広登)
 第1節 重要性を増す3国の共通点
 第2節 人工造林の展開
 第3節 急増する人工林材の生産
 第4節 林産業の動向と構造
 第5節 林産業の構造と人工林所有
 第6節 高い輸出競争力の要因

第8章 ヨーロッパの木材産業と貿易構造(村嶌由直)
 第1節 森林資源構造
 第2節 木材需給構造からみた類型化
 第3節 木材貿易の現状
 第4節 木材輸出国と木材企業の多国籍化
 第5節 主要消費国の木材市場

第9章 アフリカの林業と林産物貿易(和智達也)
 第1節 分析の対象とその概況
 第2節 林業生産・林産物輸出の品目別動向と主要国
 第3節 主要林産物輸出国の動向と森林規制の現状−産業用丸太輸出国であるカメルーンの場合−
 第4節 林産物輸出の経済的意義

第10章 中国の木材消費構造と木材貿易(村嶌由直)
 第1節 木材需給構造
 第2節 林業と木材産業
 第3節 木材貿易

第11章 日本の紙バルプ産業とチップ貿易(武田八郎)
 第1節 日本の紙パルプ産業の原料基盤
 第2節 世界の木材チップ貿易における日本の位置と輸入動向
 第3節 紙パルプ産業の海外植林の展開過程
 第4節 人工林業のグローバル化と紙パルプ産業

索引 

前書きなど

 世界の木材貿易は拡大してきた。世界の林産物貿易は輸出入合計年間2,500億ドル規模で行われ、アメリカ、ヨーロッパ、日本などの先進国に集中している。他方、開発途上国の貿易は、先進国の消費・生産の拡大を背景にして、そのシステムに組み込まれる形で展開してきた。
 FAOがはじめて森林破壊の現実を明らかにしたのは1981年であった。これによると、世界の森林の年間消失面積は約1,000万haから1,130万haと推定され、そのほとんどが熱帯林の破壊によるものであった。その後の調査においても、森林の消滅や破壊に歯止めがかからず、1990年代前半の熱帯林の減少面積は年平均1,259haに達していることを明らかにしている。
 熱帯林の減少は、地球環境問題としても無視できないものとなった。1992年の地球サミット(国連環境開発会議)では、森林の減少と劣化に対処するため「アジェンダ21」に持続可能な森林経営の行動計画をまとめるとともに、最初の世界的な合意である「森林に関する原則声明」を採択した。この「原則声明」には、先進国の自由貿易の主張と資源保有途上国の資源利用権の主張が盛り込まれたものの、森林の保護・環境保全の論理がそれらに優先する内容になっている。ここに時代の転機を読みとることができる。以後、この論理を現実のものとするために、政府間で、あるいはNGOレベルで検討が進められることになるのである。
 本書は、以上のような1990年代における新たな環境下での世界の木材貿易を分析したものである。私たちの分析にあたってのキーワードは、人工林材段階、高付加価値生産と水平的貿易、貿易の担い手としてのク゜ローバル企業であった。数回の討論の中で生まれたもので、このような形で研究の成果を世に問うことができた。

1999年12月8日 村嶌 由直