森と木の経済学

維持可能な社会発展を目指して


森と木の経済学
村島 由直
A5判 196>ペー>ジ 並製
ISBN978-4-88965-132-4 C3061
品切(絶版)
奥付の初版発行年月:2001年04月
書店発売日:2001年04月02日

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内容紹介

戦後の森林行政を研究し続けてきた著者が、最近の論考をまとめ、21世紀の展望を描いた1冊。高度成長やグローバル化の中で森林・林業がどのように変貌してきたか、これからの方向性も含めて分析しています。

目次

第1章 森林・林業・木材産業の展望
 第1節 21世紀にむけての林業・木材産業の展望 
  1 20世紀の森林・原生林の消滅
  2 育成林業時代の到来
  3 育成林業のグローバル化
  4 消費の拡大・その質的変化
  5 企業再編の加速
  6 グローバル化に対する対抗
 第2節 わが国の林業事情と新基本法に期待する 
  1 木材の市場開放−第1ラウンド・1960年
  2 木材の市場開放−第2ラウンド・1985年
  3 基本法林政の意図と現実
  4 1990年代の木材産業と林業
  5 新基本法の目指すべき方向  
 第3節 私見:林政審議会「新しい林政の展開方向」
  1 林政の総括について
  2 政策転換の方向
  3 数値目標について
  4 多様な機能発揮の政策
  5 GATTからWTO体制移行下の森林・林業
  補 林業にとっての新農業基本法        
第2章 国際時代の日本林業論
 第1節 日本経済と林業政策の展開
  1 世界の中の日本林業
  2 高度成長と林業・林政
  3 低成長と林業・林政
  4 日本の林業政策
 第2節 林業事業体の展開
  1 林家経営と森林組合
  2 企業経営の現状
  3 公社造林の展開と限界
  4 国有林経営の現状
 第3節 世界の林産物需給と木材産業
  1 林産物需給の特徴 
  2 木材産業の国際化
  3 WTO体制と日本林業
第3章 農山村・林業地域における担い手問題と再編方向
 第1節 木材需給と林業の比較劣位化
 第2節 森林・林業をめぐる諸問題
 第3節 森林問題の複雑化と多面的機能
 第4節 林業の担い手政策の展開過程
  1 担い手としての家族経営的林業
  2 広域施業受託体の育成と「地域林業」
  3 流域管理システムとその担い手
  4 森林組合・担い手の現状
 第5節 公的経営の意義と限界
  1 国有林における生産力増強の結末
  2 公的造林の役割と今後
 第6節 地域資源整備の方向
第4章 木材産業・流通政策の展開過程
 第1節 戦後木材統制による再出発
 第2節 復興期の木材需要拡大過程の流通政策
  1 森林資源
  2 木材需要の拡大
  3 木材価格の高騰
  4 木材利用の合理化の推進
  5 奥地開発政策、未利用資源の利用
  6 木材貿易政策
  7 長期対策「林業の長期計画」
 第3節 高度成長と外材依存政策
  1 木材需要増加と価格暴騰
  2 木材価格安定政策
  3 木材輸入の拡大
  4 木材産業政策
 第4節 低成長と木材産業政策
  1 狂乱物価と価格対策
  2 需要の低迷と振興策
 第5節 林産物貿易の自由化と国内木材産業対策
  1 日米木材交渉の経緯
  2 森林・林業・木材産業活力回復5か年計画
  3 木材利用の推進
  4 木材産業の体質強化
  5 1990年代の木材産業政策
 第6節 むすび
第5章 海外林業の展開と環境問題
 第1節 世界の木材需給の新展開
  1 世界の森林資源
  2 世界の木材需給
  3 木材企業の国際的展開
 第2節 北米の林業構造と環境問題
  1 アメリカ−生産大国・これを支配する巨大企業
  2 アメリカ−環境軸に森林経営戦略
  3 カナダ−開発か、保全か、はざまのBC林業
 第3節 森林と環境問題

前書きなど

 いま、新しい森林政策が模索されている。1964年に林業基本法が制定され、以来そのもとで森林・林業政策が進められてきた。基本法林政は形骸化したと指摘を受けながらも40年近く存続してきたことになる。
 基本法は、「林業の自然的経済的社会的不利を補正し、林業総生産の増大を期」し、「林業の安定的な発展を図」るというものであるが、この産業政策の目標を達成するには至らなかった。木材生産量は1960年代後半をピークに後退を続け、2000年にはピーク時の4割程度に落ち込んでいる。また、人工林面積が1,000万立方メートルに達したものの、保育ができないで、成熟段階が確かなものになるかが懸念される森林が広がっている。これが「林業総生産の増大」の現状である。
 変動相場制のもとで急進した円高、ことに1985年以降のグローバル化は、木材価格の内外差をきわだたせ、日本の林業・木材産業をいっそう比較劣位に追い込んだ。基本法制定時に木材の自給率は7割を上回っていたが、現在は2割にまで落ちている。この一方で、かってない国民的「みどり」ブームがまきおこっている。外材への依存、生産不在のなかの森林ブームである。
 林政審議会は、2000年10月に「新たな林政の展開方向」を農林水産大臣に対する報告書として取りまとめた。これは、21世紀を展望した形で林政の目指すべき方向を明確に示すという観点から、新たな基本法の再構築を提起した文書である。だが、基本法見直し論議は、熱っぽくない。
 わたしの研究生活は、基本法の制定に向けて答申「林業の基本問題と基本対策」(1960年)が明らかにされたときに始まり、それ以降基本法林政に対峙しながら研究を続けてきたことになる。
 本書は、これまで続けてきたささやかな研究を取りまとめたものである。この2年間、いろいろな機関から研究を総括するような論文を執筆する機会を与えていただいた。そこで発表したものを再構成したものが本書である。

担当から一言

林業経済、木材貿易研究のエキスパートとして知られる著者が、ライフワークの区切りとしてまとめました。