エコ・フォレスティング


エコ・フォレスティング
柴田 晋吾
A5判 304ページ 並製
ISBN978-4-88965-162-1 C0061
在庫あり
奥付の初版発行年月:2006年03月
書店発売日:2006年03月25日

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内容紹介

ITの伝道師・精神の冒険家 月尾嘉男東京大学名誉教授推薦! 世界の森林をまもり・活用する新しい思想と手法を提案。

目次

エコ・フォレスティングへの期待 東京大学名誉教授 月尾嘉男 3

はじめに 5

第1章 欧米諸国の森林環境政策の歩み 19
1.持続可能な森林管理への展開経緯 21
(1)アメリカ—国有林における環境シフト— 13
森林の減少と環境保護運動の発生 21/現状維持的管理が主体だった20世紀前半の国有林 23/生産官庁に変身した森林局 24/環境保護運動の台頭と世論の変化 25/転換点となった国有林管理経営法 26/国有林経営に甚大な影響を与えた絶滅危惧種法 27/環境法の司法解釈が政策を規定する事態に 28/80年代後半に環境NGOが急拡大 29/ニシアメリカフクロウ論争の衝撃 30/木材生産主導から生態系管理へ 32/激減した国有林の木材生産 32/レク利用が伸び、雇用もシフト 34/保全と利用の調整へ模索が続く 35
(2)カナダ—90年代に森林政策を転換— 38
80年代までは木材経営が中心 38/90年代から「持続可能な森林経営」を先導 39/合意形成による初の産物「国家森林戦略」 41/各州で相次いだ政策転換 41/BC州も80年代前半までは木材生産が主眼 43/90年代前半から戦略的土地利用計画を策定 44/転機となったクラクォットサウンド紛争 44/森林施業規則法の制定 46/不透明な経済、雇用への影響 47
(3)スウェーデン—生物多様性と林業生産の両立へ— 48
20世紀に森林資源が充実 48/20世紀後半に森林施業法の集約化が進展 48/環境保護運動の発生とフォレスターの対応 49/80年代に森林施業への規制を強化 50/90年代に入り環境NGOとフォレスターとの対話が進む 52/新森林政策で木材生産と環境保護を両立 53
(4)フィンランド—環境と林業生産の両立を追求— 55
20世紀に森林を回復 55/50〜60年代に森林施業の集約化が進展 56/自然保護のリーダーでもあったフォレスター 57/60年代から環境保護運動が激化 57/レクリエーション利用の重要性が高まる 58/自然保護により配慮した森林施業へ 58/生物多様性を木材生産と同等に位置づけ 59/フォレスターと環境保護サイドとの関係が改善 61
(5)ノルウェー—基金による資源造成と多目的利用— 62
森林トラスト基金により森林資源が充実 62/60〜70年代に木材生産量が倍増 62/オスロマルカ地域の論争が転機に 63/林業と環境の対話が進む 63
(6)ドイツ—「近自然林業」の台頭— 64
多目的利用と集約的林業の生みの親 64/連邦森林法が森林政策の枠組みを規定 65/「近自然林業」が台頭 65/広葉樹植栽が増え、保護地域も拡大 66/80年代に環境保護運動が高まる 67/モノカルチャーが批判の的に 68/生物多様性の保全に関心が集まる 69/保全地域の設定と管轄を巡り論争 70/バーデン・ヴュルテンベルク州の取り組み 71/ローワー・サクソニー州の取り組み 73/林業と環境の両立に向けて 73
(7)フランス—分権的な管理体制の整備も—  74
200年間で森林面積を倍増 74/私有林が多く、国家的管理が伝統 75/70年代に環境保護運動が高まる 76/フォレスターと環境NGOの交流が深まる 77/FNEなど主要環境NGOの動き 77/一斉林の是非が論点の1つ 78/フォンテンブローの取り扱いなどに関心 79/野生生物との共存、EU指令への対応なども課題 79/地域森林憲章の制度も 81
2.環境社会面の論点 81
(1)論争発生の状況 81
論点は各国ほぼ共通 81/森林施業法の集約化に対する反発 82/林業生産対象地の拡大にも反発 83/レクリエーション利用者が環境保護に共鳴 84/国より差がある論争の盛り上り 84/森林施業の急速な変化、都市と山村の乖離 85/文化的伝統、情報提供なども影響 85/森林規制の強化などで論争が沈静化 86/老齢林や国公有林の取り扱いに強い関心 86
(2)環境社会面の森林政策への反映状況 87
70年代に多目的利用の法制定が続く 88/80〜90年代に持続可能な森林経営へシフト 88/70年代の環境規制とその影響 89/80年代以降に施業規制、保全地域が拡大 89/多様な形態の参加が進む 90/環境NGOとの協働も 91/環境NGOが取り始めた新たな手法 92/森林認証の拡大と二極分化 92/不毛な対立を超えるために 93
(3)新たな歩みにむけて 94
20世紀の森林を復興・保全したフォレスター 94/森林管理思想と政策の枠組の拡大を促した環境保護運動 95/対照的なアメリカとカナダ 95/中央ヨーロッパと北欧で政策変化に差異 96/フォレスターの存在意義が問われる 96/新たな理念を実現するための課題 97

第2章 エコ・フォレスティングの思想と手法 99
1.欧米における展開過程 101
(1)近自然林業 101
近自然林業の源流は? 101/ドイツで起きた木材工場的林業への反論 
101/森林を有機体と見る 102/現代に甦る恒続林思想 103
(2)エコシステムマネジメント 104
ハンフリーのビジョン 104/土地倫理思想の幅 105/エコシステムマネ
ジメントの源流はレオポルド 106/エコシステムマネジメントの多目的利
用との違い 109/産業林業の対極:エコフォレストリー 110
(3)フォレスターとエコ・フォレスティング 110
アメリカにおける議論 110/アンケート調査にみる森林局職員の考え方 
111/「Aグループ」と「Bグループ」 112/「Cグループ」のフォレス
ター 114/フォレスターと環境保護者の対立が生じた経緯 114/複眼フ
ォレスターへの脱皮 115/エコ・フォレスティングが新たな使命 116/
社会との協働学習過程へ 117
2.生態圏域のアセスメント 118
(1)生態系管理の手法 118
生態系とは何か? 118/常に変化している生態系 119/階層性を考慮し
た計画策定へ 119/生態系の自己回復力と限界 121/順応的管理が不可
欠 121
(2)生態圏域のアセスメントの事例 122
広域の持続可能性を把握する試み 122/生態系の回復力を示すEI 124/
地域社会の安定性を示すSER 126/歴史的な生態系の改変度を示すHRV 
127/山火事抑制などはHRVの範囲外 128/人工造林とEI 128/遷移と攪
乱に近い管理経営が好ましい 129/ICBEMPの課題 130
3.計画調和へ 131
(1)予定調和から計画調和へ 131
アメリカのパイオニアたち 131/ドイツにおける議論 132/予定調和論
のメリットと弊害 133/老齢林を保全するようになった経緯 133/スタ
ブラーの警告 134/人為活動と森林・土地利用の区分 135/地球レベル
のEI保全を 136/森林の価値の両立可能性 138/「予定調和」から「計
画調和」へ 141
(2)基準・指標の取り組み 141
基準・指標についての国際的な動き 141/カナダの基準・指標の取り組み
 142/フィンランドの基準・指標 144

第3章 「協働」による森林環境管理 147
1.協働の考え方と取り組み事例 149
(1)多元主義と協働 149
多元主義が求められている 149/「参加」から「協働」へ 150/「紛争
解決」から「紛争管理」へ 153/協働による紛争管理の場面 154
(2)地域分権と協働 155
世界に広がる協働による森林管理 155/林業振興から広範な村落開発へ 
157/世界的に進む地域分権化 158/森林管理権を地域住民や地方政府に
委譲 159/相次ぐ歴史的領有権の承認 160/分権化が抱える課題 161
(3)協働の多様な姿 163
ヨーロッパ都市近郊林の協働管理 164/カナダの国家森林戦略 165/モ
デルフォレストの試み 167/順応的協働管理の取り組み 168/クインシ
ーライブラリーグループの挑戦 170/大手林産企業と環境NPOの協働 172
/官庁と環境NPOの協働で野生生物を守る 174/協働を成功させるための
条件 176
2.北米の参加型計画策定の教訓 177
(1)アメリカ国有林の土地資源管理計画 178
裏切られた期待 178/環境法などにより身動きがとれない状況に 178/
計画策定に11年を要したタホ国有林 180/9つの論点 181/11種類の代
替案と膨大なデータ 182/オープンハウスなどで計画素案を説明 184/
12,000通にのぼったコメント 184/最終計画の内容と承認後の状況 186
/硬直的な参加のモデルとの指摘 190/「技術」と「参加」のジレンマ 
190/協働型アプローチへの模索が続く 192
(2)カナダBC州の戦略的土地利用計画 194
上位レベルと事業レベルに大別 194/地域レベルの協働によりゾーニング
 196/1つのシナリオを目指す 197/環境民主主義の野心的な試み「計
画テーブル」 199/セクターモデルと関心モデル 200/参加のレベルの
3段階 202/期待はずれに終わったLUP 204/LRMPの合意形成も難産 
206/協働による計画策定の教訓 208

第4章 エコ・フォレスティングの可能性 211
1.エコ・フォレスティングと森林業 213
(1)世界の森林の現状 213
森林の減少・劣化が進むもアジアは純増に 213/進む原生林の改変と植林
地の造成 214/多目的利用が進む 216/植林地の集約化が進展 218
(2)森林業の考え方と意義 220
多様な社会的要請に応える森林環境管理へ 220/多元的価値の実現を図る
森林業 222
2.森林業の取り組みと可能性 224
(1)非木材森林産品(NWFP) 224
侮れない存在の非木材森林産品 224/市場進出に向けた支援 227/北米
でのNWFP利用 227/欧州でも位置づけが高まる 229/ライセンス制や認
証制度も 230
(2)レクリエーション利用・ツーリズム 233
アメリカでは利用料の徴収も 233/森林に立ち入る自由度の違い 235/
完全自由アクセスの国 236/脚光を浴びるエコツーリズム 237/地域住
民主導型エコツーリズムの教訓 238/エコツーリズム認証の動き 240/
レクリエーション利用のゾーニング 240
(3)環境サービスに対する支払い等 244
新たな森林保全策としての環境サービス 244/環境サービスに対する支払
い等が効果的な場合 246/支払い等の現状 247/直接取引には至ってな
い水源保全サービス 249/コスタリカの支払い制度 252/エクアドルの
水基金 254/ニューヨーク市の水源地保全対策 254/困難な生物多様性
の取引 256/生物多様性を売る認証コーヒー 257/民間や税制による保
全地域の拡大 257/生物多様性探索の可能性 258/動き出した森林炭素
ビジネス 260/零細農民の営みへの支援も 263/オーストラリアにおけ
る炭素ビジネスなどの動き 264/アクセス料の見直しの動きも 265/環
境サービスに対する支払い等の展望 266
(4)コミュニティフォレストリー 267
北米のコニュニティフォレストなどの動き 268/ヤカマインディアンの取
り組み 268/アメリカの恒続林:「メノミニーの森林」 268/大面積皆
伐から転換するワスワニピ 270/林産企業と先住民のジョイントベンチャ
ー 270/町ぐるみで転換図るヘイフォーク 271/販売方法の改善を図る
バーノン地域 272/森林を貸し付けるモデルフォレスト 273
(5)日本における展望 275
森林環境ビジネスの潮流 275/エコ・フォレスティングが導く環境共生社
会 276 

引用文献 279
主要事項・人名索引(兼外国語対訳・略称、掲載頁) 295

前書きなど

この書物は空理空論ではなく、現実からの発想だ!

「エコ・フォレスティング」には、
森林の経済価値だけではなく、環境を維持する価値、
社会へもたらす広範な価値について見識が濃縮されている。
本書の内容が、多数の人々に理解されることを期待します。

東京大学名誉教授 月尾 嘉男