温暖化と森林 地球益を守る

―世界と地域の持続可能ビジョン―


温暖化と森林 地球益を守る
小林紀之
A5判 270ページ 並製
ISBN978-4-88965-180-5 C0061
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年06月
書店発売日:2008年06月20日

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定価:1,905円(税込2,057円)

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内容紹介

「ポスト京都」に向けた戦略構築のために、最新の情報・先進事例などをQ&A方式で解説。

目次

はじめに.....3
目次.....7
Chater1 基礎編
Section 1‐1 地球温暖化とは?
 1 頻発する異常気象.....16
 2 温暖化のメカニズムと温室効果ガス.....18
 コラム●温暖化がもたらす地域の変化.....19
Section 1‐2 地球が温暖化するとどうなるのか?
 1 IPCCが鳴らした警鐘.....20
  1 IPCC第4次評価報告書の概要.....20 /2 統合報告書の構成.....21
 2 気候変化の分析と予測.....22
  1 「気候変化とその影響に関する観測結果」および「変化の原因」.....22 /2 「予測される気候変化とその影響」.....23 /3 「適応と緩和のオプション」.....26 /4 「長期的展望」.....28
 コラム●二酸化炭素トンと炭素トン.....29
 3 森林・林業への影響.....30
  1 統合報告書の分析.....30 /2 第3作業部会における評価.....31 /3 森林・林業・木材の温暖化防止への貢献.....33 /4 森林による排出・吸収量.....33
 コラム●IPCC第4次評価報告書に用いられている標準用語.....35
Section 1‐3 気候変動枠組条約とは?
 温室効果ガスの排出削減で合意.....36
Section 1‐4 京都議定書とは?
 2012年までの国際的枠組み.....40
 コラム●日本の基準年排出量は12億6,160万トン(CO2換算).....43
Section1‐5 日本は温暖化防止にどう取り組んできたか?
 1 歴史的経緯.....44
 2 第1次「京都議定書目標達成計画」.....46
  1 基本的な考え方.....46 /2 温室効果ガス排出抑制・吸収量の目標.....47 /3 目標達成のための対策と施策.....49
 3 地球温暖化対策推進法と関連法......50
  1 地球温暖化対策推進法の策定と2005年の改正点.....50 /2 温暖化対策に関する個別法.....51
Section 1‐6 森林吸収源とは?
 1 京都議定書第3条3項・4項.....52
 2 マラケシュ合意と日本の上限目標量.....54
  1 森林、植林などの定義.....54 /2 吸収量適用上限値.....56
Section1‐7 木質バイオマスとは?
 注目されるバイオ燃料.....58
 コラム●早生樹・ヤナギからエタノール生産も.....61
Section 1‐8 環境税とは?
 1 必要性と課題.....62
 2 海外の導入状況.....64
 3 日本の検討状況と森林環境税.....66
Section1‐9 炭素権とは?
 森林の新しい価値.....68

Capter2 対策編
Section 2‐1 京都メカニズムとは?
 ET・JI・CDM.....74
Section 2‐2 排出量取引(ET)とは?
 先進国間で「排出権」を移転.....76
Section 2‐3 共同実施(JI)とは?
 先進国が協力してクレジットを獲得.....78
Section 2‐4 クリーン開発メカニズム(CDM)とは?
 1 先進国と途上国の共同プロジェクト.....80
 2 プロセスと遵守事項.....82
 3 プロジェクト計画の策定.....84
 コラム●CDMの関連組織.....85
Section 2‐5 CDM植林とは?
 1 アカウンティング.....86
 コラム●再植林の「土地適格性(eligibility)」と基準年.....89
 2 非永続性と2つのクレジット(tCER、lCER).....90
 コラム●CDMの基本分類(排出源・吸収源・通常規模・小規模).....92
 3 クレジット発生期間.....94
 コラム●追加性.....95
 4 ベースライン、リーケージ.....96
 コラム●バウンダリー.....97
 5 社会経済的・環境的影響.....98
 コラム●侵入性外来樹種とGMO.....99
 6 小規模CDM植林プロジェクト.....100
  1 COP10で決定した小規模CDM植林の簡素化ルール.....101 /2 小規模CDM植林に関する簡素化された方法論集.....102 /3 小規模CDM植林に関する方法論の進展.....104 /4 CDM植林の追加性ツール.....105
Section 2‐6 森林吸収量を確保するには?
 1 地球温暖化防止森林吸収源10ヵ年対策.....106
 2 目標達成に必要な森林経営(施業).....108
 3 算定方法と日本の吸収量.....112
  1 森林吸収量の算定方法.....112 /2 日本の森林の吸収量.....114 /3 2005年度の排出量、吸収量.....115

Capter3 展望編
Section 3‐1 「ポスト京都」に向けた課題は何か?
 1 COP13の開催.....118
 コラム●適応基金が運用開始へ.....119
 2 バリ・ロードマップ.....120
  1 特別作業部会(AWG)の新設と合意期限.....120 /2 温室効果ガスの排出削減目標は先送り.....121 /3 新・特別作業部会(AWG)での検討事項.....121
 3 セクター別アプローチ.....124
  1 手法と問題点.....124/2 日本政府の包括提案とセクター別アプローチ.....125
 コラム●COP13におけるセクター別アプローチの“評判”.....127
Section 3‐2 「REDD」とは?
 1 検討の経緯.....128
  1 気候変動枠組条約と京都議定書での森林関連条項.....128 /2 交渉の経緯.....129
 2 COP13での決議事項.....130
  1 決議事項のポイント.....130 /2 決議文書の内容.....130 /3 決議文書の留意点.....133
 3 今後の検討課題.....134
  1 主要検討課題.....134 /2 検討方法とスケジュール.....135 /3 REDDに関する各国の意見.....136
 コラム●途上国における森林減少.....137
Section 3‐3 世界銀行が進めている温暖化対策は?
 1 プロトタイプ炭素基金(PCF).....138
 2 バイオ炭素基金(BCF).....140
 3 森林炭素パートナーシップ基金(FCPF).....142
  1 基金の概要.....142 /2 基金の仕組みと組織.....144 /3 パイロットプロジェクトの実施手続き.....144 /4 支援対象国(ホスト国)、対象プロジェクト.....145 /5 基金の課題.....146
Section 3-4 カーボンマーケットはどうなっていくのか?
 1 グローバルな動向.....148
 2 EU域内排出量取引制度(EU ETS).....150
  1 EU ETSの概要.....150 /2 第1フェーズと第2フェーズの概要.....151 /3 新しいEU ETS(2013年以降)の概要.....152
 コラム●排出量取引の排出枠割当方式.....154
 コラム●オーストラリアの排出量取引制度.....155
 3 ニュージーランドの国内排出量取引.....156
  1 林業部門を対象にしたETS.....156 /2 Permanent Forest Initiative(PFSI、永久森林イニシアティブ).....157 /3 East Coast Forestry Project (ECFP)、Afforestation Grant Scheme(AGS).....158 /4 ニュージーランドの温室効果ガス削減目標と森林吸収源.....158
 4 米国の排出量取引.....160
  1 連邦レベルの動き.....160 /2 州レベルの動き.....161 /3 民間の動き:シカゴ気候取引所(CCX).....164
 5 国際的市場構築への課題.....166
  1 京都議定書、欧州指令での排出量取引の規定.....166 /2 ICAPの動き.....167
Section 3‐5 カーボン・オフセットとは?
 1 温暖化対策の新しい手法.....168
  1 カーボン・オフセットの定義.....168 /2 オフセットをする意義とメリット.....169
 2 日本における課題.....170
  1 取り組みの促進と市場の育成.....170 /2 信頼性の構築.....170
 コラム●新宿区と伊那市が間伐補助のオフセット協定.....171
 3 世界の動向.....172
  1 世界のカーボン・オフセット・クレジット市場.....172 /2 英国の現状.....172 /3 マンゴーツリー事件.....173 /4 米国の現状.....174 /5 オーストラリアの現状.....175
 コラム●カーボン・オフセットCD「koko」.....177
 4 環境省のカーボン・オフセット指針.....180
  1 委員会での検討の要点.....180 /2 指針の構成.....181 /3 指針の内容.....181
 コラム●カーボンフットプリント.....185
 5 森林吸収源の展望.....186
  1 国内の森林を対象とした場合.....186 /2 海外の森林を対象とした場合.....187 /3 第三者認証.....188
 コラム●アフリカ開発会議のCO2排出をオフセット.....189
Section 3‐6 CDM植林事業はどうなっていくのか?
 1 排出削減プロジェクトとの明暗.....190
 2 CDMプロジェクト全般の状況.....192
  1 段階別CDMプロジェクト数.....192 /2 部門別の動向.....193 /3 地域、国別の動向.....193 /4 CDMプロジェクトの課題.....194
 3 登録・審査の現状と課題.....196
  1 承認された方法論.....196 /2 登録済み、バリデーション(有効化)中のプロジェクト.....198
 4 今後の展望と検討課題.....200
  1 クレジットの価値の向上.....200 /2 非永続性、不確実性リスクへの対応.....201 /3 政府によるクレジットの買い上げ.....201
Section 3‐7 日本の温暖化対策はどうなっていくのか?
 1 考慮すべき2つの切り口.....202
 2 新たな「京都議定書目標達成計画」.....204
  1 第1次「目標達成計画」の評価と問題点.....204 /2 新・京都議定書目標達成計画.....208
 3 地球温暖化対策推進法の改正.....210
  1 算定・報告・公表制度の見直し.....210 /2 排出抑制等指針の創設.....210 /3 地方公共団体実行計画の拡充.....211
 4 産業界の取り組み.....212
  1 排出量取引制度に対する考え方.....212 /2 「ポスト京都」に対する考え方.....213 /3 森林吸収源に対する考え方......215
Section 3‐8 森林吸収量の取り扱いはどうなるのか?
 1 自治体中心に検討広がる.....216
 コラム●下川町有林のCO2販売構想に対する賛否両論.....217
 2 高知県の「協働の森づくり事業」.....218
 3 高知県の「協働の森CO2吸収認証制度」.....220
  1 対象森林、趣旨.....220 /2 認証制度のフレーム.....220 /3 CO2吸収量の認定対象、算定値.....222 /4 CO2吸収証書の発行、認証実績.....222
 4 和歌山県、大阪府、京都府の事例比較.....224
  1 目的、仕組み.....224 /2 対象とする活動、担い手.....225 /3 吸収量の算定式、対象森林、認証期間.....225 /4 企業・団体にとってのメリット.....226 /5 市町村、森林所有者のメリット.....226
 コラム●神戸の「森林CSR制度設計研究会」.....227
 5 「高知方式」の課題.....228
  1 CO2吸収量の算定方式、算定期間.....228 /2 現地調査方法.....230 /3 排出量取引への発展.....231
 コラム●坂本龍一氏とモア・トゥリーズの森づくり活動.....232
 6 森林整備を推進する上での日本林業の課題.....234
  1 追加的間伐が抱える“量”と“質”の問題.....234 /2 「切り捨て間伐」問題.....236 /3 「再造林放棄地」問題.....238 /4 対応策と今後の課題.....238
Section 3‐9 伐採木材(HWP)の取り扱いはどうなるのか?
 1 IPCCディフォルト法の課題.....240
  1 伐採木材(HWP)とIPCCディフォルト法.....240 /2 IPCCディフォルト法の問題点.....240
 コラム●木材中の炭素量を求める算式.....243
 2 4つの算定方式(アプローチ).....244
 3 日本の世界のデータとスタンス.....248
  1 日本の伐採木材(HWP)に関するデータ試算.....248 /2 世界各国のデータ試算とスタンス.....249
 4 ポスト京都に向けた検討課題.....250

あとがき.....253
索引.....259
引用・参考文献.....266 

前書きなど

●「はじめに」から
 地球温暖化をめぐる国内外の情勢は大きく変化してきています。筆者は2003年8月に『地球温暖化と森林ビジネス』を出版し、2005年8月の第3版まで版を重ねました。これを踏まえて、最新状況をもとに新たに書き下ろしたのが本書です。
 筆者は、地球温暖化防止の取り組みに森の力を活かすことが「地球益」に結びつくと考えています。木を植え、森を育て、守り、木を適切に使うことが地球温暖化を防ぐことになります。本書では、このような考え方に基づき、各章を展開していきます。主な内容は次のとおりです。
1. 気候変動枠組条約、京都議定書、IPCC第4次評価報告書を概観した上で、地球温暖化防止に向けた森林の役割を科学的な面と京都議定書の運営ルールの両面から明らかにします。
2. 「ポスト京都」については、「バリ・ロードマップ」の内容と交渉経緯から分析し、将来の枠組みを展望します。新たな検討課題である「REDD(途上国の森林減少・劣化に由来する温室効果ガスの排出削減)」についても、詳しく解説します。
3. 世界で進んでいる球温暖化防止対策を分析し、日本の取り組みの参考にします。検討対象とする制度は、排出量取引、カーボン・オフセット、CDM植林、世界銀行のBCF、FCPFなどです。これらの制度の中での森林吸収源がどのように位置付けられているかも明らかにします。
4. 日本の地球温暖化防止対策や産業界の取り組みの現状と経緯を分析し、京都議定書の6%削減目標達成に向けた課題を明らかにします。特に、森林吸収量目標(3.8%)達成に向けて課題については、踏み込んで解説します。
5. いくつかの地方自治体が取り組んでいる森林吸収量の証書化などの取り組みについて、現状と課題を考えます。その際に、日本林業の課題である「切り捨て間伐」や「再造林放棄地」の問題にも触れます。
6. 伐採された木材(HWP)のCO2吸収・計上方法について分析し、今後の検討課題を明らかにします。
 本書の執筆に当たっては、専門書であると同時に手引書として、幅広い読者の疑問に答えられるよう、Q&A方式を採用しました。どこからでも、興味のあるところから読んで下さい。
 本書が、地球温暖化防止と森林問題に関心を持つ市民、研究者、NGO、政策担当者の方々に少しでもお役に立てば幸いです。
 2008年6月 小林 紀之

担当から一言

「ポスト京都」に向けた戦略構築のために、最新の情報・先進事例などをQ&A方式で解説。