森林社会デザイン学序説 第3版


森林社会デザイン学序説 第3版
北尾邦伸
A5判 388>ペー>ジ 並製
ISBN978-4-88965-189-8 C0061
品切
奥付の初版発行年月:2009年02月
書店発売日:2009年02月20日

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内容紹介

<森林社会>実現へのビジョンを示す好著の第3版。地域再生に向けた最新論考を追加しました。

目次

はじめに 3
第1部 時代的状況 11
 1章 いま、「まちとむらをむすぶ」とはどういうことか 13
   自然・風土・文化・人間 ―環境性と主体性― 13
   自然への身体の配置と環境 15
   森林施業および林業構造の基礎的理解 17
   ローカルな思想を創る 19
   市場経済を組み替える 21
   ローカル・コモンズと公共性 23
   連帯・提携とネットワーク 25
 2章 安定社会に向けて 31
   はじめに 31
   来るべき時代 31
   現状から未来へ 35
   (1)県森林審議会 35/(2)ツキノワグマの保護管理 36/(3)県林業公社の見直し 38
   里山管理について 39
   (1)林業と森林経営 40/(2)環境資源としての里山マネジメント 42/(3)雑木林林業の可能性 44

第2部 森へ、そして森林社会へ 49
 3章 森林社会への道 51
   森林社会のイメージと時代状況 51
   日本の農山村は、いま 55
   里山的世界 58
   森への旅 60
   21世紀に引き継ぎえる林業経営 61
   生命系の「安定社会」にむけて 64
 4章 地域のなりわいとエコツーリズム 69
   はじめに 69
   なにがエコツーリズムか 69
   日本でのエコツーリズム 72
   グリーンツーリズムを対置して 74
   地域のなりわい 75
   現在におけるコモンズの在処 77
   まとめにかえて 79
  <附>自然保護地域 83
 5章 「里山」の発見とその展開方向 87
   はじめに 87
   用語としての里山とその諸見解 87
   里山の形成と変貌 92
   (1)里山の自然 92 /(2)里山の領域構成 94 /(3)里山の変貌 96
   「里山」の現代的意義 96
   展開方向 ―まとめにかえて 99
 補章 森に遊び森を楽しむ ―森林ツーリズム― 103
   はじめに 103
   アメリカから 104
   ヨーロッパから 107
   日本各地の事例から 109
   (1)阿蘇グリーンストック 109 /(2)株式会社たもかく 110 /(3)どんぐり銀行 111
   森への旅と旅行業 112
  <附>ブッグガイド(1):木平勇吉編著『森林環境保全マニュアル』 115

第3部 中山間地域の存在性 119
 6章 森をめぐる営みの確かさ ―日本の「山村らしさ」にあったもの、あるもの― 121
   はじめに 121
   生業としての林業 122
   山に生きる暮らし 125
   里山をもつランドスケープ 128
 7章 出雲の築地松 ―生きられる景観― 131
   はじめに 131
   屋敷森と散居集落 132
   (1)斐伊川の東進と開田 132 /(2)屋敷森の暮らし 136
   築地松 ―その用と美― 138
   (1)防風とマツ 138 /(2)ノーテゴリ(陰手刈り) 139 /(3)屋敷構え 140
   景観の衰退 143
   むすび 145
 8章 たたらと里山 149
   はじめに 149
   たたら製鉄の発展と消滅 151
   山内 ―鉄を湧かす里― 155
   たたら山(鉄山)について 157
   地域編成力としてのたたら経営 ―もう一つの「里山」― 160
   未来に向けてのサト・ヤマ論 ―「森と里の思想」の再検討― 162
 9章 中山間地域の新たな可能性 167
   はじめに 167
   「中間山地域」の登場 167
   循環型社会の再構築 169
   定常開放系の自然と循環系社会 174
   「市民」が支える中山間地域 177
   むすび 179

第4部 「環境と経済」への意図 ―環境政策と産業の「自立」― 185
 10章 環境政策と林業政策のはざま ―森林・林業基本法が示しているもの― 187
   はじめに 187
   新基本法解読の難しさ 189
   新基本法に欠けているもの 195
   共生・循環社会 198
   結  び 201
  <附>事典・年鑑に掲載の五つの事項 209
     1)地球温暖化対策と日本の森林・林業 209
     2)21世紀グリーンプラン 215
     3)林  業 216
     4)環境倫理 219
     5)自然享有権 223
 11章 林業・木材産業の地域的再生 ―三重県松阪木材コンビナートの創設をめぐって― 225
   はじめに 225
   製材産地としての松阪 226
   コンビナートの全容 229
   大型並材製材工場の設立と住宅部材の安定供給 237
   原木の安定供給体制 241
 補章 環境問題と経済 ―切り口、スタンス、コンセプト― 247
   序  論 247
   環境問題と森林・林業 251
  <附>ブックガイド(2):大田伊久雄著『アメリカ国有林管理の史的展開』 261
  <附>ブックガイド(3):依光良三編著『流域の環境保護』 263

第5部 森林・林業の回生 267
 12章 森林の価値の在処、存在の仕方 269
   はじめに 269
   機能(森林の働き)と価値 270
   森林の価値を量る 272
   文明的転換期における当為の「究極目的」の変更 275
   まとめにかえて ―森林・林業の基本的価値― 276
  <附>森林ガバナンス 281
 13章 ローカル・コモンズと公共性 287
   「コモンズ」の登場 287
   新森林・林業基本法の無効性 288
   協働の場としての森林 292
   循環系社会 ―コモンズの在処― 294
   市民社会における公共性 296
   まとめ 298
 終章 ゆたかな森林づくり、希望の林業 ―むすびにかえて― 303
   森林づくり税 303
   コモンズからの未来 305
   「コモンズ」の再定義 308
   コモンズのとりもどし 309
   希 望 311

増補1 森林ガバナンスのはじまり ―福岡県甘木市での動き― 317
  森林管理 317
  甘木市森林整備隊AFC 318
  森林組合の経営状況 319
  あまぎ国際木こりの森構想 320
  あまぎ緑の応援団 323
増補2 森林団地施業の担い手 ―徳島県木屋平村の第3セクター「ウッドピア」― 325
  森林団地施業 325
  ウッドピアの概要 326
  事業内容 327
  現場組織および資本装備 328
  森林の団地施業に向けて 329
増補3 場所への愛 ―島根県の株式会社美都森林― 333
  トポフィリア 333
  会社設立の動機および事業内容 334
  革新的間伐生産技術への挑戦 335
  挑戦者としての働き手達 338
  地域とのつながり ―調和的環境の創成― 339
  小 括 342
増補4 森を治めるという難題 345
  林政の推移と現段階 346
  森林・林業を中心に据えた循環型社会 349
  森林自治 352
増補5 こころ通わせるアプリヴォアゼな森づくり ―三重県・大紀森林組合― 355
  はじめに 355
  地域および森林組合の概要 356
  事業内容および経営状態 357
  働き手の編成 359
  「組合だより」から 361
  合併10周年のあゆみと今後(組合長のあいさつ) 362
  森林環境創造事業 363
  道づくり 364
  施工3つの基本 364
  新しい森林管理事業 366
  アプリヴォアゼ 369
増補6 原点が存在する ―地域再生をデザインするにあたって― 373
  わたしと北海道 ―知床“原生林”伐採をめぐる自然保護論、カラマツ林業論― 373
  第6時産業 ―地域自立の経済、生命系の経済学― 376
  森のゼロエミッション・循環型社会 378
  「里山」という自然・人間の関係 ―人も入り込んだ自然― 380
  耕す文化と農的生活(アグラリアン) ―農・藝・科学のあるなつかしい未来― 382
  若干のまとめ 386

前書きなど

 デザインとは、つまりは、アイディアや夢を構想力にまで高め、「意志と力」を注いで、かたちをつくる営為である。システム的で、秩序的、組織決定的な行政の「計画」は、ともすれば計画づくりを自己目的化し、計画倒れに終始する。制度化されている「森林計画」は、とりわけそうであった。
 はたまた、「成長の経済」を推進せんがために自然を単純化し、公権力でねじ伏せる「全国総合開発計画」のもとで、自然は痛めつけられ、疲弊してきた。計画立案も一種のデザインと言えなくもないが、いま、要請されているのはそのリ・デザインである。
 この本の、<森林社会>に対するデザイン力は、いかほどのものか。筆者自身、全く推し量れない。読者賢者と歴史に判断をゆだねるしかない。傷つけられた自然環境から、いろんなシグナル(signal)が送られてきている。それらを感受し、サイン(sign)としてデ・ザイン(「デ」は表出・案出)する。自然との関係の確かさを求めて、「森林」という存在と「森のメカニズム」を可能な限り社会に埋め込み直す。そのような作業のためのなにがしかの序説となっていれば、望外の喜びである。
 なお、2007年に本書の「第2版」を、2009年に「第3版」を世に出すことができた。「第2版」と「第3版」の刊行にあたり、巻末に「増補」を加えたことを付記しておく。

2007年4月
北尾 邦伸