広葉樹の森づくり


広葉樹の森づくり
豪雪地帯林業技術開発協議会
A5判 306ページ 並製
ISBN978-4-88965-236-9 C0061
在庫あり
奥付の初版発行年月:2014年03月
書店発売日:2014年04月03日

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内容紹介

多様な森づくりを実践するために、現場で地道に積み上げてきた知見をまとめました。失敗事例とも真摯に向き合った上で、今後の取組方向を示します。

目次

この本が目指すもの
日本の森づくりの現状と広葉樹造林 3
この本の内容と見どころ 4

第1章 広葉樹造林の目的・目標
1.1 広葉樹造林の目的と目標 16
1.1.1 なぜ広葉樹を植えるのか 16
1.1.2 広葉樹造林を選択するからには 19
1.2 地域の生態系を乱さない配慮を 22
1.2.1 移入種による生態系の撹乱 22
1.2.2 遺伝子撹乱に対する配慮 22
1.3 各地の広葉樹人工林 24

第2章 広葉樹造林の困難さ
2.1 広葉樹造林は難しい? 32
2.2 適地選定の誤り 32
2.2.1 気候・気象条件に起因する広葉樹植栽木の被害 33
2.2.1.1 雪圧害 33
2.2.1.2 霜害・凍害 33
2.2.2 土壌条件に起因する広葉樹植栽木の生育不良 41
2.2.3 光条件に起因する広葉樹植栽木の生育不良 46
2.3 活着不良 49
2.4 病虫獣害 51
2.4.1 獣害 52
2.4.1.1 ニホンジカ 52
2.4.1.2 ニホンカモシカ 53
2.4.1.3 ノウサギ 56
2.4.1.4 ノネズミ 56
2.4.2 虫害 58
2.4.2.1 コウモリガ 59
2.4.2.3 クワカミキリ 60
2.4.2.2 カツラマルカイガラムシ 61
2.4.3 病害 62
2.5 誤伐 63
2.6 成林阻害要因からわかること 66

第3章 木材生産のための広葉樹造林
3.1 広葉樹材の利用と広葉樹造林の考え方 70
3.1.1 広葉樹材の用途 70
3.1.2 広葉樹材の生産と流通 72
3.1.3 木材を利用するための広葉樹造林 73
3.1.4 広葉樹材に求められる形質と生産目標 75
3.2 植栽 76
3.2.1 苗木の規格 76
3.2.2 実生苗とその産地 80
3.2.3 苗木の形態 81
3.2.4 適地適木 83
3.2.4.1 気候からみた造林適地 83
3.2.4.2 地形・土壌からみた造林適地 84
3.2.5 植栽時期 86
3.2.6 植栽密度 87
3.2.7 植栽方法 90
3.2.8 複数樹種の混植 91
3.3 初期保育 92
3.3.1 下刈り 92
3.3.1.1 広葉樹造林地の下刈り 92
3.3.1.2 通常の下刈りで誤伐を防ぐための工夫 93
3.3.1.3 坪刈りと筋残し刈り 95
3.3.1.4 ツリーシェルターの利用 96
3.3.1.5 資材を使わず,下刈りもしないという選択 98
3.3.1.6 他樹種の混生を活用するための下刈り休止 100
3.3.1.7 的確な選択をするために 102
3.3.2 除伐 102
3.3.2.1 広葉樹人工林の除伐 102
3.3.2.2 除伐の時期と方法 103
3.3.2.3 植栽木の成長が不良な広葉樹造林地での除伐 105
3.3.3 つる切り 107
3.3.4 雪起こし 108
3.3.5 目標に応じた植栽~初期保育の省力化 108
3.4 枝打ちと間伐 109
3.4.1 枝打ち 109
3.4.1.1 作業の目的と効果 109
3.4.1.1.1 対象木および対象となる枝径 110
3.4.1.1.2 枝径と癒合期間の関係 111
3.4.1.1.3 癒合に関する要因 114
3.4.1.1.4 太い枝はどうするか? 114
3.4.1.1.5 樹種による枝打ちの可否 115
3.4.1.2 作業方法の注意点 116
3.4.1.2.1 枝打ち方法 116
3.4.1.2.2 枝打ちの季節 118
3.4.1.2.3 枝打ちの効率化 118
3.4.2 間伐 118
3.4.2.1 間伐の目的と効果 118
3.4.2.1.1 広葉樹の樹冠拡張様式 119
3.4.2.1.2 広葉樹人工林の林分構造と形質 121
3.4.2.1.3 広葉樹の樹型級区分と仕立て方 122
3.4.2.1.4 間伐方法の違いによる成長への影響 126
3.4.2.1.5 間伐による成長促進効果 128
3.4.2.1.6 間伐による後生枝の発生 133
3.4.2.1.7 目標林分材積 139
3.4.2.2 作業方法 139
3.4.2.2.1 間伐時期の目安 140
3.4.2.2.2 間伐木の選定 140
3.4.2.2.3 間伐率と繰り返し回数 142
3.4.2.2.4 ケヤキの樹冠幅管理図 144
3.5 ケヤキと針葉樹の混交林 144
3.5.1 混交林と一斉林との比較 145
3.5.2 混交林の実態-混交割合とスギの被圧木率の関係 148
3.5.3 ケヤキとスギの樹冠占有面積の違い 151
3.5.4 混交林の成長経過 154
3.5.5 混交林における目標となるケヤキの形質 154
3.5.6 ケヤキとスギの同齢混交林 156
3.5.6.1 植栽後の初期成長と生存率(植栽事例) 156
3.5.6.2 同齢混交林モデル 160
3.5.7 ケヤキのギャップ植栽 161
3.5.7.1 ギャップ植栽の事例 161
3.5.7.2 ギャップ植栽モデル 162

第4章 環境保全のための広葉樹造林
4.1 人工林の育成 166
4.1.1 目標とする森林 166
4.1.2 施業の考え方 171
4.1.3 どんな樹種を植えるのか 173
4.1.4 種苗の確保と植栽 181
4.1.5 初期保育 183
4.2 多様な技術 187
4.2.1 崩壊地の復旧 189
4.2.1.1 雪食崩壊地の復旧 189
4.2.1.2 植栽試験から実践へ 189
4.2.1.3 最初の事業での失敗 190
4.2.1.4 次期工事での改良 191
4.2.1.5 追跡調査からわかったこと 192
4.2.2 スギ不成績造林地の修復 195
4.2.2.1 施業の考え方 195
4.2.2.2 成長と被害 197
4.2.2.3 植栽木と侵入木による森づくり 201
4.2.3 雪崩防止林の造成 204
4.2.3.1 施業の考え方 204
4.2.3.2 どんな樹種が良いか 205
4.2.3.3 前生樹を活用したグライド抑制工 211
4.2.4 水田造林 215
4.2.4.1 施業の考え方 215
4.2.4.2 植栽木の成長と被害 216
4.2.4.3 成林成果をあげる工夫 221

第5章 人工林施業に活かす樹種特性
5.1 広葉樹の繁殖特性 226
5.1.1 結実齢 226
5.1.2 種子豊凶と周期 227
5.1.3 種子散布様式 230
5.1.4 種子散布距離 231
5.1.5 種子の発芽特性と取り扱い方 233
5.1.6 埋土種子 233
5.2 成長速度 236
5.2.1 樹高成長と肥大成長 236
5.2.2 成長速度 237
5.3 耐陰性 239
5.3.1 陽樹と陰樹 240
5.3.2 耐陰性の条件と実証事例 240
5.3.3 更新様式と耐陰性の関係 241
5.3.4 更新に必要な光環境  242
5.4 樹林の萌芽力 244
5.4.1 萌芽更新 245
5.4.2 雪圧害・食害と萌芽力 246
5.4.3 後生枝の発生 247
5.5 広葉樹の生態的特性と更新方法 247

おわりに
これからの広葉樹造林 251
豪雪協の最近の活動 253

引用文献 255
索引 279
執筆者紹介 303

コラム
コラム2-1 冠雪害 33
コラム2-2 ナラ集団枯損被害 59
コラム3-1 枝打ちによる傷の癒合 111
コラム3-2 枝打ちによる材の変色の原因 114
コラム3-3 広葉樹の樹冠拡張と枝下高 120
コラム3-4 樹型級区分 123
コラム3-5 上層間伐と下層間伐 126
コラム3-6 後生枝 135
コラム3-7 生枝下高と樹冠葉層高 155
コラム4-1 植生遷移と更新 174
コラム4-2 保全種と目的樹種 178
コラム4-3 ミヤマカワラハンノキ 180
コラム4-4 牧場跡地の森林再生 186
コラム4-5 雪食崩壊 188
コラム5-1 ブナの天然下種更新1~提案された各種の更新法  228
コラム5-2 ブナの天然下種更新2~更新技術の検証 229
コラム5-3 カンバ類の天然下種更新 234
コラム5-4 人工林伐採跡地の更新 235
コラム5-5 林冠ギャップと広葉樹の出現および成長パターンの関係 543

前書きなど

●序文(この本が目指すもの)から
 近年の森づくりは、スギやヒノキなどの針葉樹一辺倒から、広葉樹を交えた多様な森づくりに目が向けられるようになってきた。だが、現在行われている広葉樹造林は、うまくいっているだろうか。経済林にしろ、環境保全林にしろ、大径の成熟した広葉樹人工林の造成に至っては、多くの場合は広葉樹の生態的な特徴の説明に留まり、技術的な解説書が少ないのが実態である。
 なぜ、広葉樹造林の人気が高まっているにもかかわらず、技術的な解説書が少ないのだろうか。それは、成功した事例が少ないために、途中経過などについて十分なデータがとれていないからであろう。では、どうしたら技術の向上を図ることができるのか。それは、少しでも多く現場での観察を積み重ねることと、これまで行われた事例を通じて失敗例を見逃さないことである。そして、その失敗を十分に検証することである。とかく、失敗したことは不問に伏す場合が多い。しかし、失敗こそ成功の大きなヒントであるという発想の転換が必要である。我々はこうした結論を見出し、この本を出版するに至った。
 広葉樹といっても種類は多く、亜熱帯から亜寒帯まで幅広い気候条件を持つ日本列島では、地域によって生育する樹種は大きく異なる。この本では、主に我々の関係する積雪(冷温帯)地域で人工造林または天然更新している高木樹種の育成について解説する。
 この本は、広葉樹を中心とした森づくりのための解説書である。これまで多くの研究者が解明してきた研究成果を解説しているだけでなく、我々の活動の中で新たに見出した視点や技術も盛り込んでいる。日本の森林科学は大きく発展してきた。しかし、残念ながら森づくりを提言できる研究者が少ない。我々都道府県の森林・林業に関係してきた研究者は少なくとも森づくりに関する技術を考えてきた。我々の“売り”は、林業の現場でとったデータを客観的に解析し、科学的な視点に立って技術を開発していることである。読者の方々には、是非そのあたりに注目して読んでいただきたい。

担当から一言

多様な森づくりを実践するために、現場で地道に積み上げてきた知見をまとめました。失敗事例とも真摯に向き合った上で、今後の取組方向を示します。