新刊


SDGs時代の木材産業

ESG課題を経営戦略にどう組み込むか?


SDGs時代の木材産業
井上 雅文 編著, 長坂 健司 編著, 安藤 範親 編著, 多田 忠義, 鮫島 弘光
A5判 194ページ 並製
ISBN978-4-88965-261-1 C0061
在庫あり
奥付の初版発行年月:2020年01月
書店発売日:2020年01月27日

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内容紹介

「環境」と「経済」の両立に向け、新たな企業のあり方を示す! 具体的な取組事例を豊富に掲載。

目次

木材産業の潜在力を活かせ 3

第1章 SDGsとESGの基本を理解する 9
はじめに 11
1-1.SDGsと企業活動 13
1-2.SDGsの各ゴール 15
1-3.社会的責任としてのESG投資 19
1-4.ESG課題への取り組み方法 21
1-5.サステナビリティ報告の開示フレームワーク 26
 1-5-1.企業のサステナビリティ活動とコーポレートブランド 26
 1-5-2.GRI 27
 1-5-3.IIRC 29
 1-5-4.価値協創ガイダンス 30

第2章 木材産業のあるべき姿と現状の理解 35
2-1.木材産業のあるべき姿 37
 2-1-1.木材産業を取り巻くパラダイム 38
 2-1-2.生物圏:持続可能な森林資源調達を実現すること 40
 2-1-3.社会:持続可能な農山村社会の存立に貢献すること 42
 2-1-4.経済:競争優位性を発揮し、高い付加価値を創出すること 44
2-2.森林の機能と木材需給の現状 45
 2-2-1.森林の多面的機能 45
 2-2-2.減少する世界の森林資源 46
 2-2-3.増加する世界の素材生産量と木材需要量 50
 2-2-4.増加する日本の森林資源 50
 2-2-5.転換が進む日本の木材需給構造 52
2-3.木材産業をめぐる日本の現状 56
 2-3-1.小規模な山林所有と森林組合による組織化 56
 2-3-2.木材産業の担い手 57
 2-3-3.低迷する原木価格とわずかに上昇する製材品価格 59
 2-3-4.木材サプライチェーンと大規模からニッチな需要家までを包含する需給調整・取引システム 61
 2-3-5.新たな税制・制度の導入による森林整備推進の可能性 63
2-4.日本で増加の兆しがある新たな木材需要 64
 2-4-1.非住宅木造建築物の増加と内装木質化 65
 2-4-2.脱プラスチックの時代到来と木由来の新素材開発 67

第3章 ESG課題解決への林業・木材産業の貢献ポテンシャル 71
はじめに:林業・木材産業とESG課題 73
3-1.林業・木材産業がインパクトを与えるポテンシャルを持つ分野 76
 3-1-1.木材サプライチェーンを通じた気候変動緩和 76
  3-1-1-1.森林への温室効果ガスの吸収 77
  3-1-1-2.伐採木材製品の温室効果ガス固定効果 80
  3-1-1-3.非木材製品から木材製品に代替することによる温室効果ガス排出削減効果 82
 3-1-2.水源涵養、気候変動適応 83
 3-1-3.生物多様性保全 85
 3-1-4.地域の社会経済への貢献 86
 3-1-5.住・都市環境の提供 87
3-2.社会の持続的発展の担い手として林業・木材産業の将来 87

第4章 他社の取り組み事例を知る 93
積水ハウス株式会社 94
住友林業株式会社 99
大建工業株式会社 100
ナイス株式会社 104
タマホーム株式会社 106
前田建設工業株式会社 108
株式会社竹中工務店 112
飛島建設株式会社 116
株式会社J-ケミカル 120
株式会社マルホン 124
日本ノボパン工業株式会社 128
有限会社高橋木箱製作所 130

第5章 ESG課題にどう取り組むか? 133
はじめに 135
5-1.SDGsおよびESG課題の解決による「価値創造」 136
5-2.SDGsと各事業の紐づけ 137
5-3.事業棚卸の実際 139
5-4.今後の課題 139

補論 研鑽会「木材産業におけるESG研鑽会」講義録 143
研鑽会「木材産業におけるESG」の概要 145
講義1「ESG投資について」田辺敬章(環境省) 148
講義2「ESG投資の可能性」水口剛(高崎経済大学) 154
講義3「ESG投資の課題から考える企業の持続的成長戦略」松川恵美(グリッド&ファイナンス・アドバイザーズ) 174

編著者一覧 193

前書きなど

●「木材産業の潜在力を活かせ」から抜粋
 木質資源の適正な利用は、地球温暖化対策(E)や地域経済振興(S)などの観点から、持続可能な循環型社会の実現を目指すSDGsの目標達成に貢献できる要素を多岐に有しています。ESG投資においてもポジティブに評価される潜在的な優位性があります。木材利用は、炭素貯蔵、省エネ、エネルギー代替、森林整備などの効果によって直接的に地球温暖化対策に貢献でき、国産材時代を迎えた日本においては山間地域の経済振興に貢献できます。木材産業は、石油や自動車産業などビジネスモデルの大変革を迫られている業界と比べ、相対的に有利な潜在力を持っているのです。
 木材産業は、これらの潜在力を活かせているでしょうか。先進的な取り組みをされている企業もありますが、総じて、林業、木材産業は、SDGsやESGに対する意識が低く、知識が少ないと言わざるを得ません。木材産業には非上場の中小企業が多く、それらの経営者にはSDGsやESG投資を対岸の火事と捉えている方も少なくありません。SDGsやESG投資は上場企業だけの問題ではなく、評価の対象はサプライチェーンの構成要素全体に及ぶことを知らなければなりません。大手企業の取り組みが深化するに従い、原料調達、販売先などの協力企業にも、ESGへの配慮が求められることになります。例えば、原料調達においては、違法伐採による森林破壊などネガティブに評価される要素も懸念されることから、そのリスク管理が必要となるのです。
 SDGs時代の木材産業のあるべき姿を考えるとき、木材産業が有する潜在的な優位性とリスクを抽出して整理し、それらを利害関係者へ正しく巧く伝える方法を検討しなければなりません。そこでは科学的根拠に基づいた検証が必要ですが、これらは学術によってのみ解決できる課題ばかりではありません。著者が主宰する研究室では、以前から木材の需要拡大に果たす金融の役割について注目してきましたが、日本でもESG投資に関する動きが活発となった2017年頃から準備を始め、木材利用システム研究会の企業会員に呼びかけ、行政機関とも連携して、2018年4月より研鑽会「木材産業におけるESG」を立ち上げました。本書は、この研鑽会における2年間の活動を取りまとめたものです。
 SDGsやESG課題への取り組みは、CSR担当や経営企画などの特定部署だけではなく、トップのリーダーシップのもと、全社一丸となって行う必要があります。社員一人一人への浸透が重要です。SDGsやESGを自らのビジネスに関わる重要なテーマと意識され、関連する知識を学んでいただくことによって、業界全体が底上げされることを期待しています。そして、木材産業が潜在力を100%活かし、それぞれの事業活動を通じて、環境、経済、社会的課題の解決に貢献でき、これらが正しく評価されるきっかけとなれば幸いです。
東京大学教授
木材利用システム研究会会長
井上雅文

担当から一言

「環境」と「経済」の両立に向け、新たな企業のあり方を示す! 具体的な取組事例を豊富に掲載。