持続可能な森林経営に向けて
国際林業協力研究会(編)
A5判 454ページ 並製
定価 3,666円 (本体価格 3,333円)
ISBN978-4-88965-078-5 C3061
在庫あり
奥付の初版発行年月 1996年12月 書店発売日 1996年12月01日
紹介
世界共通の目標となっている「持続可能な森林経営」。その考え方が示された地球サミットの模様と、それ以降の国際検討の状況が細かく解説されています。関連資料ももれなく収録しました。
目次
第1章 世界の森林資源
第1節 世界の森林資源の現況
第2節 世界の生物多様性等の現況
第2章 国際的な動き
第1節 UNCED(開発と環境に関する国連会議)
第2節 持続可能な森林経営の基準・指標の策定
第3節 国際機関
第4節 国際研究機関の動き
第5節 関係条約の動き
第6節 国際対話の進展
第3章 CSD(国連持続可能開発委員会)
第1節 CSDの概要
第2節 CSD分野別アドホック作業部会の概要
第3節 CSD第3回会合
第4節 IPFの動き
第4章 我が国の国際森林・林業協力
第1節 我が国の国際森林・林業協力の現状
第2節 シニアフォレスター会議
第3節 熱帯林問題懇談会第2次中間報告
第4節 我が国の国際協力の今後の課題
第5章 持続可能な森林経営に向けて−これまでの成果と今後の課題−
資料編
全ての木材及び木材製品に関する認証制度
CSD第3回会合文書
温帯林等の保全と持続可能な森林経営の基準・指標……ほか
前書きなど
世界の森林面積は、約39億haといわれています。しかしながら、貧困や人口の増加を遠因とする無秩序な用材や薪炭材の伐採、家畜の過放牧や農地の開発等により、世界の森林は、途上国を中心に減少・劣化の傾向にあります。また、先進国においても大気汚染等による森林の劣化も報告されています。このような状況は、地域的には、木材や薪炭材の不足、洪水等の自然災害の発生、渇水の発生など、社会の安定的な発展を阻害する様々な問題を引き起こすとともに、地球規模での気候の温暖化、生物多様性の減少、砂漠化の進行など地球環境にも深刻な影響を及ぼしています。
このため、1992年の「地球サミット」では、森林の減少・劣化の問題も重要な議題として検討され、その結果、法的な拘束力はないが権威ある国際合意として、持続可能な森林経営に関する「森林原則声明」が採択されました。現在、そのフォローアップとして、持続可能な森林経営を実施・検証するための基準・指標づくりや森林問題の解決へ向けての個々の取組みが関係各国で活発に行われています。また、1995年4月には、国連持続可能な開発委員会の下に「政府間森林パネル」が設置され、地球的な森林問題に関し幅広く論議し、国際的に優先して取り組むべき事項を抽出し、その具体的な実行策を検討しているところです。
このような国際的な動きは、今後の我が国の森林・林業、木材産業にも少なからず影響を及ぼす可能性があるため、我が国としても、将来的な展望に立って、国内や海外での森林整備関する対応策や関連施策の充実・強化を進める必要があります。
本書は、世界の森林資源の現状紹介とあわせ、UNCED以降の森林に関する国際的な動向、国際会議等での森林問題の議論の内容、我が国の国際森ム・林業協力の現状を詳しく紹介したものです。今後の我が国の森林の取扱い、国際的な森林・林業協力の推進に当たり、国、地方の行政担当者だけでなく、NGOを含む幅広い国民の皆様の参考になれば幸いです。
1996年9月
版元から一言
なぜ「持続可能な森林経営」が必要なのか。その原点を知ることができます。
著者プロフィール