森と木と人のつながりを考える

 

主張する森林施業論
22世紀を展望する森林管理

森林施業研究会(編)

A5判  396ページ 並製
定価 3,143円 (本体価格 2,857円)
ISBN978-4-88965-169-0 C0061
在庫あり

奥付の初版発行年月 2007年03月
書店発売日 2007年03月16日

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解説

「100年の森林づくり」に向けた技術と理論が1冊に。10年間の研究成果を集大成!

紹介

「100年の森林づくり」に向けた技術と理論が1冊に。10年間の研究成果を集大成! 好評重版(2007年11月5日初版第2刷)。日本図書館協会選定図書。

目次

刊行に寄せて(桜井尚武) 3
はじめに(鈴木和次郎) 5

総 論 持続可能な森林経営・管理とは何か(渡邊定元) 21
  1.リオディジャネイロ宣言・森林原則声明・アジェンダ21を読む 23
  2.モントリオール・プロセス 26
  3.持続可能な森林経営の基礎概念 28
  4.環境問答 32
  5.持続可能な森林の管理・経営 38

第Ⅰ章 持続可能な森林経営・管理の基礎理論 47
 第1節 生態系管理(大住克博) 49
  1.森林管理と生態学 49
  2.森林の生態系管理とは 51 
  3.生態系管理に必要な施業とは 53
  4.なぜ生態系管理が必要なのか 55
  5.望まれる森林の姿 58
 第2節 機能区分と適正配置(伊藤 哲・光田 靖) 62
  1.機能区分の重要性と問題点 62
  2.森林の構造と機能 62
  3.評価したいのは機能? 効果? 価値? 64
  4.目的と手段の逆転 66 
  5.森林の機能に対する過度の期待 66
  6.機能評価と意志決定  67
  7.脱機能論:林業の原点に立ち返る立地区分 67
  8.立地区分からゾーニングへ—スケール整理とレベル設定 69 
 第3節 集水域管理(鈴木和次郎) 72
  1.生態系管理の最小単位としての集水域 72
  2.集水域生態系のスケールと構造 73
  3.集水域の施業管理区分 75
  4.どのように施業管理区分を行うのか? 78 
  5.地形解析に基づく施業管理区分 79
  6.集水域管理の基本 82
  7.集水域管理において配慮すべきこと 85
 第4節 林分施業(鈴木和次郎) 88
  1.林分施業とは何か? 88
  2.長伐期施業 90
  3.複層林施業 93
  4.混交林施業 97
 第5節 天然更新施業(正木 隆) 101
  1.今、東北のブナ林は 101
  2.天然更新を定義する 102
  3.実生はどうすれば成立するのか? 104
  4.実生がたくさん成立すれば安心か? 106
  5.伐った後の自然任せは是か否か 108
  6.天然更新を「期待」する愚 109
  7.技術開発研究を定義する 110
  8.学ぶべき自然がある 112
  9.今、必要な研究は 114
 第6節 遺伝的多様性の保全(金指あや子) 117
  はじめに 117
  1.遺伝資源確保のための遺伝的多様性の保全 117
  2.林木の遺伝的多様性 119
  3.地域集団の重要性 121
  4.森林管理における遺伝的多様性の保全と問題点 123
  おわりに 127
 第7節 種多様性の保全 —種類が多ければすばらしい森林か?—(長池卓男) 130
 はじめに 130
 1.日本海側多雪地帯のブナ林における植物の種多様性 132
 2.山梨県のカラマツ人工林における植物種多様性 134
 おわりに 135

第2章 持続可能な森林管理のための個別施業 139
 第1節 長伐期施業(澤田智志) 141
  はじめに 141
  1.高齢林とその生育環境 142
  2.高齢林と気象害 144
  3.高齢化に伴う人工林の成長 145
  4.高齢木の成長 151 
  5.生態学の理論の見直しと高齢林の成長 152 
 第2節 複層林施業(竹内郁雄) 157
  はじめに 157
  1.複層林の上木 157
  2.複層林の下木 160
  3.今後の複層林施業 164
 第3節 混交林施業(長谷川幹夫) 166
  1. 混交林はどこにでもある 166
  2. 事例からみた混交林 169
  3. これからの混交林施業 173
 第4節 帯状・群状伐採方式(溝上展也) 176
  はじめに 176
  1.帯状・群状伐採方式の類型基準 177
  2. 帯状・群状伐採方式の事例 180
  3.おわりに 185
 第5節 モザイク林施業(石神智生・鈴木和次郎) 188
  はじめに 188
  1.長期育成循環施業とは 188
  2.複層林施業から長期育成循環施業(モザイク林施業)へ 189
  3.施業設計の変更・モザイク化 189
  4.伐採、更新の計画 190
  5.路網整備計画 191
  6.これまでの施業の実施結果 192 
  7.期待される機能・140年後以降の姿 194
 第6節 針葉樹の天然下種更新(豊田信行・石川 実) 197
  1.研究の目的 197
  2.国内でのヒノキ天然更新の事例 198
  3.愛媛県のヒノキ天然下種更新事例 199
  4.間伐時の問題点 203
  5.まとめ 204
 第7節 多様性を生み出す森林施業(広葉樹)(佐藤 創) 206
  はじめに 206
  1.試験方法 207
  2.試験結果 208
  3.多様な樹種の更新のために 212
 第8節 多様性を生み出す森林施業(針葉樹人工林)(谷口真吾) 215
  1.はじめに 215
  2.植物の種多様性を生み出す針葉樹人工林施業 217
  3.針葉樹人工林の林業経営上の問題点と望ましい森林施業の方向性 225
 第9節 立枯れ木・倒木管理 大場孝裕 229
  1.森林の多面的機能と人工林に足りないもの 229
  2.立枯れ木の必要性 231
  3.倒木の必要性 232
  4.人工林の高齢大径化と野生鳥獣 233
  5.立枯れ木・倒木の管理 236 
 第10節 広葉樹二次林施業(横井秀一) 240
  1.日本の天然林の多くが広葉樹二次林 240
  2.広葉樹材は「量の時代」から「質の時代」に 241
  3.これからの広葉樹の伐採・利用は二次林が主 242
  4.木材生産に使える二次林、使えない二次林、使わない二次林 243
  5.これからの広葉樹材生産にはきちんとした施業が必要 244
  6.広葉樹二次林の施業の進め方 247

第3章 森林の保全・修復・再生技術 251
 第1節 森林生態系(保護林)の保全(渡辺定元) 253
  1.保護林制度の概要 253
  2.自然保護の概念 255
  3.保護林の管理技術 256
  4.持続可能な経済林における稀少種や生息環境の保全 257
  5.森林の保全・修復・再生と法制度 260
 第2節 野生動物の保護(石田 健) 262
  はじめに 262
  1.森林と野生動物 262
  2.野生動物とヒトとの関係 264
  3.ツキノワグマの保護対策 266
  4.より具体的な野生動物管理をめざして 269
 第3節 ニホンジカの採食圧下における自然植生の保全(田村 淳) 272
  はじめに 272
  1.植生回復の取り組み 273
  2.今後の自然植生の保護に向けて 279
 第4節 絶滅危惧の希少樹種とその保全(金指あや子) 283
  1.日本における絶滅危惧種の現状 283
  2.絶滅危惧木本植物の現状と減少要因 284
  3.希少樹種の現状と保全 285 
  4.おわりに 290
 第5節 景観の保全と創造(奥 敬一・深町加津枝) 293
  1.森林風景計畫 293
  2.風致施業の登場 294
  3.「見せる風致施業」がたどった道 295
  4.結びにかえて 300
 第6節 自然林再生のあり方(鎌田磨人) 301
  1.はじめに 301
  2.自然林再生に向けた計画の策定過程 303
  3.植栽実施上の問題点 310
  4.おわりに−森づくりから地域づくりへ 315
 第7節 不成績造林地の修復(小谷二郎) 320
  1.不成績造林地の発生—造林適地基準の甘さ 320
  2.不成績造林地が注目された原因—多数の広葉樹の侵入 323
  3.広葉樹の侵入様式—地拵え・下刈り・除伐の影響 324
  4.不成績造林地の林相改良—元の植生への回復 327
  5.不成績造林地の将来—様々なスケールからの可能性 328
 第8節 水辺林の保全・再生(長坂 有) 332 
  はじめに 332
  1.水辺林の保全・再生の目的、手法 332
  2.見本林の保全 333
  3.再生作業の実践 334
  4.水辺林空間を確保する重要性−撹乱の許容、氾濫原の保全− 337
 第9節 流域保全のための森林整備(小山泰弘) 340
  1.脱ダム宣言 340
  2.ダムに代わる森林整備 340
  3.ダム上流域の森林が持つ役割 341
  4.水を一時的に蓄える森林土壌 342
  5.壊れにくい森林の提案 342
  6.壊れにくい森林とは 343
  7.カラマツ林に在来の広葉樹は生育しているのか 343
  8.壊れにくい森林整備のために 345

第4章 推進のためのプログラム 347
 第1節 水源林の経験から学ぶ森林経営(施業)計画(泉 桂子) 349
  1.森林施業研究における「水源林」の今日的意義 349
  2.水源林における水源涵養上望ましい森林像の変化 349
  3.水源林の独自性に基づく経営計画の重要性 352
  4.現在の水源林における森林施業上の課題 354
  5.おわりに 356
 第2節 資源循環利用と森林管理(大住克博) 359
  1.資源循環利用とは? 359  
  2.一般社会の問題として何が議論されているか? 361
  3.資源循環利用は森林管理とどう関わるのか? 363
  4.地域における循環の仕組みをどう実現していくか? 366
 第3節 NGO、NPO(渡辺定元) 369
  1.これまで果たしてきたNGO・NPOの役割 369
  2.自然環境・原生林・生物多様性の保全とNGO・NP 371
  3.森林の修復・再生とNGO・NPO 373
  4.NPO法人富士山自然の森づくりの事例 374
  5.持続可能な森林経営へのNGO・NPOの役割 375
 第4節 森林施業の史的考察と今日的課題(谷本丈夫) 378
  1.森林施業教育の意義と課題 378
  2.森林施業の歴史概観 379
  3.林業基盤の再生、整備を目指した森つくり 386

それでも林業をする理由—あとがきに代えて—(大住克博) 388

前書きなど

「刊行に寄せて」から 
本書の寄稿者達は、現下の情勢を真剣に見据えて、衒うところなく、素直に対応を考えようとする書き手である。現場を知って、現地の声を聴いて、自分でも実践すべきものとして書いたと思う。イイトコドリでない、地に着いた研究者の本音と見通しを見て頂きたい。
日本大学教授 桜井 尚武

著者プロフィール

森林施業研究会(シンリンセギョウケンキュウカイ)

上記内容は本書刊行時のものです。

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