森と木と人のつながりを考える

 

国産材はなぜ売れなかったのか

自然科学

荻 大陸(著/文 他)

A5判  200ページ 並製
定価 2,096円 (本体価格 1,905円)
ISBN978-4-88965-193-5 C0061
品切れ・重版未定

奥付の初版発行年月 2009年10月
書店発売日 2009年10月26日

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紹介

空気売り、役物頼み、品質管理の遅れ――業界のタブーを抉り出す!

目次

刊行に寄せて 前田直登3
まえがき5
第1章 外材輸入前夜11
 常態化していた「歩切れ」13
 歩切れの先進地16
 安定的歩切れと乱雑歩切れ18
 業界ぐるみ20
第2章 外材があぶり出した問題23
 小丸太がとび抜けて高かった理由25
 「空気売り」の構造28
 劣勢木一辺倒の未熟な間伐30
 「空気売り」の崩壊31
 外材も良い製品ではなかった33
 生き残る「空気売り」35
第3章 役物依存の時代39
 メーカー銘柄「東濃檜」の登場41
 乾燥を徹底した美作産地の飛躍44
 役物は国産材、並物は外材48
 「洋室」の定着により役物需要が増大51
 役物特化産地・吉野の活況54
 ヒノキ神話の誕生55
 役物依存の構造59
 並物産地の特徴61
第4章 外材時代と国産材業界の変貌63
 最大の国産材市場圏・東海65
 外材化による名古屋市場の激変67
 業態の変革と新規顧客の開拓69
 製材業のための産地・美作71
 主要販売圏は山陰74
 外材化の実態76
 リタイア資源を狙い中国地方を原木集荷圏化78
 製材生産量の拡大をもたらしたもの80
 役物特化産地・奈良81
 役物生産の三つの柱89
 秋田のスギ割柱産地化90
 天杉なき後の優良資源「造林」91
 樌をとるか、割柱をとるか93
 北洋材産地化を目指した秋田94
 国際水準の原木価格を求める95
 九州におけるスギ割柱の開発96
 秋田のブランド商品に成長98
第5章 需要低迷と淘汰の時代103
 木材需要が伸び悩みから低迷へ105
 外材インパクトと「挽けば売れる」時代107
 米ツガ製材が受けた打撃109
 米材製材産地・清水111
 清水の凋落と変貌112
 国産材も外材も乾燥に取り組まなかった115
第6章 集成材の時代117
 材価下落の構造119
 役物時代の終焉121
 役物特化産地・奈良の衰退123
 製材品離れと構造用集成材の台頭127
 化粧ばりを超え、集成材を管柱に128
 プレカット加工が集成材シフトを加速130
 外材の主役が欧州材に131
 製材品は「半製品」133
 ようやくはじまった国産材製材工場の大規模化135
第7章 板の時代141
 住宅メーカーの国産材シフト143
 中国の台頭でロシア材が買えなくなった145
 合板・集成材メーカーの国産材利用量が急増147
 川下は国産材時代に入った148
 板の需要が増える150
 製品市場の主役も板に151
 マンションなどの内装にムク材154
 新たな需要の背景に健康志向156
 洋室(非和室)に「加工板」158
 本当はみんな木造に住みたかった159
 モルダー加工が必須に164
 板材の先進メーカー166
 原木の基準寸法は2m176
第8章 来るべき時代179
 市場ルールが後押しする集成材標準化181
 ムク製材が直面している厳しい現実182
 中小製材業者が生き残る道185
 製材工場は分化・特化の促進を188
 在来工法住宅一辺倒からの脱却189
 国産材の価格はもう上がらない190
 育林コストの低減193
 焼畑林業の見直し196
 急務の鳥獣害対策200
本書で紹介した主な企業等205
あとがき209

前書きなど

はじめに
 国産材時代が目前のようにみえる。住宅産業の国産材回帰が鮮明になり、木質バイオマスをふくむ新規の木材需要も勢いを増している。木材加工業で国産材を使うのは、かつては製材業だけといってよかったが、近年は製材に加え、集成材、合板、LVLなどの国産材シフトが急速に進んでいる。製品、丸太の需要サイドでは、国産材化が大きな流れになりつつある。
 とはいえ、国産材時代を迎えるのは、そう簡単ではない。現在の国産材化の流れは、外材が入手しにくくなってきたという外部条件の変化によってもたらされた結果にすぎず、国産材が抱える問題が克服されたことによるものでは決してない。
 本書は、国産材が抱える問題を、外材が日本の木材需要の大半を担ってきた、外材時代の実態分析をとおして明らかにしようとしたものである。
 実は、外材が日本に入ってきたときに起きたのも、「売れなくて当たり前」というべき国産材の欠陥があぶり出された結果であった。そして外材輸入以前の「国産材時代」において、すでに問題は噴出していた。我々は、まずそこからみていこう。
2009年10月 荻 大陸

版元から一言

空気売り、役物頼み、品質管理の遅れ――失敗を繰り返さず、真の「国産材時代」を迎えるために。

著者プロフィール

荻 大陸(オギ タムツ)

上記内容は本書刊行時のものです。

2,096円
(本体価格 1,905円)

品切れ・重版未定

 

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