中国の森林・林業・木材産業
―現状と展望―
森林総合研究所(編)
A5判 480ページ 並製
定価 3,143円 (本体価格 2,857円)
ISBN978-4-88965-204-8 C0061
在庫あり
奥付の初版発行年月 2010年12月 書店発売日 2010年12月15日
解説
3カ年を費やした研究プロジェクトの成果。台頭する大国の全貌がわかる!
紹介
3カ年を費やした研究プロジェクトの成果。台頭する大国の全貌がわかる!
目次
プロローグ 3
第Ⅰ部 中国の木材産業の発展とその特徴 17
第1章 木材産業発展の全体的傾向 19
1.はじめに 19
2.森林資源と木材需給 20
3.木材貿易の動向 23
4.木材産業の分布 27
5.木材加工業の動向 29
<Column1>中国の森林概況 33
第2章 日本の木材関連企業の中国進出 37
1.はじめに 37
2.日本企業の中国進出の変遷 38
3.中国国内のJAS認定工場 42
第3章 木材加工業の発展過程 49
1.はじめに 49
2.大連市の木材加工業の沿革 51
3.大連市の木材加工業の実態 53
4.外部変化への対応 59
<Column2>中国市場はフデン人のもの? 63
<Column3>中国の地方行政・組織の仕組み 67
第4章 北方木質ボード産業の発展過程 71
1.文安県の木材加工業の概要 71
2.木材加工業への原料供給 73
3.原料の有効利用 75
4.木材加工業の生産状況 79
5.木材加工業が抱える問題点 86
6.木材製品の販売戦略 88
7.おわりに 92
第5章 南方木質ボード産業の発展過程 95
1.はじめに 95
2.中国南方における木質ボード生産 96
3.江蘇省邳州市の木質ボード産業の発展 103
4.南方江蘇省でのベンチャー起業ドキュメント 110
5.おわりに 111
第6章 南方家具産業の発展過程 113
1.はじめに 113
2.中国南方における家具産業 114
3.中国南方の家具産業発展 116
4.広東省の家具産業の発展状況 119
5.広東省の主要な家具企業 122
6.おわりに 125
第7章 住宅建築等への木材利用の状況 127
1.はじめに 127
2.中国の住宅需給と住宅政策 128
3.住宅・生活分野における木材利用 135
4.木造住宅・木材普及に向けた各国の取り組み 143
5.木造住宅・木材の普及に向けた課題 154
<Column4>中国の住宅事情 161
第8章 木質材料の製造及び接着剤の動向 163
1.はじめに 163
2.中国の木質パネル生産動向 163
3.木質材料生産工場の現状 165
4.木材用接着剤の技術的変遷 171
5.木材用接着剤の生産動向 172
6.おわりに 174
第Ⅱ部 中国の森林・林業・木材産業関連政策の動向 177
第1章 木材産業・貿易の発展を規定する諸要因 179
1.はじめに 179
2.国内森林資源の維持・培養を目指す政策の影響 181
3.民営化・分権化を目指す政策 184
4.社会発展の調整政策 186
5.貿易自由化・国際化政策 192
6.グローバルな資源供給不安定化の影響 193
7.世界金融危機による輸出市場の低迷 196
8.地球環境問題への注目と持続的な森林経営への希求 197
9.ローカルな変化との相互作用 198
10.おわりに 199
第2章 「天然林資源保護工程」の実施と影響 203
1.はじめに 203
2.「天然林資源保護工程」の概要と特徴 204
3.「天然林資源保護工程」実施の背景 208
4.「天然林資源保護工程」がもたらした影響 211
5.おわりに 217
<Column5>国有林区の林業労働者はどこにいったのか? 221
<Column6>中国の自然保護制度 225
第3章 大規模森林造成の実施とその影響 229
1.はじめに 229
2.大規模な森林造成政策の展開 230
3.人工林資源の増加と国内材供給地の成立 232
4.森林造成・人工林資源増加を促す要因 239
5.森林造成・人工林資源増加を阻む要因 245
6.おわりに 248
第4章 木材産業関連政策の動向と影響 253
1.はじめに 253
2.改革開放以降における産業政策の基本潮流 254
3.国有企業改革と木材加工業界構造の変容 255
4.産業育成関連政策 258
5.建設関連政策の動向 263
6.おわりに 267
第5章 貿易管理政策の変化と影響 271
1.はじめに 271
2.計画経済体制下の貿易管理 272
3.市場経済化・民営化過程の貿易管理 273
4.林産物貿易にかかわる主要な政策 279
5.おわりに 286
第6章 違法伐採対策と森林認証制度の影響 289
1.はじめに 289
2.違法伐採問題をめぐる背景 290
3.中国における違法伐採対策 293
4.おわりに 305
第7章 環境・社会問題への対応 309
1.はじめに 309
2.木材貿易と違法伐採を巡る問題 309
3.近年の森林・林業政策による環境的・社会的影響 314
4.木材産業の環境問題への対応 317
5.おわりに 321
第Ⅲ部 中国の木材貿易の発展と将来予測 325
第1章 林産物貿易の展開 327
1.はじめに 327
2.注後気宇の貿易における林産物 328
3.丸太と製材品の輸入 333
4.家具等の輸出 337
5.おわりに 339
第2章 中国の統計制度とデータの精度 343
1.はじめに 343
2.中国森林関連統計の制度的変遷 344
3.森林資源調査による統計 347
4.他の森林関連統計 350
5.中国の森林関連統計データに関する評価 355
6.おわりに 358
第3章 原料輸入を巡る状況 361
1.はじめに 361
2.資源保護措置の展開 361
3.ロシア材 364
4.カナダ材 369
5.ニュージーランド材 372
6.おわりに 375
第4章 木製品輸出の現状と将来 379
1.はじめに 379
2.木製品の品目別輸出動向 380
3.対日輸出基地化と加工技術の高次化 383
4.おわりに 391
第5章 日本の林産物輸出 395
1.はじめに 395
2.日本からの木材輸出と中国の地位 397
3.日本企業の林産物輸出への取り組み 403
4.中国への林産物輸出促進のために 408
第6章 将来予測に向けての整理と考察 413
1.はじめに 413
2.中国の木材産業はどこに原料を求めるか? 414
3.何が中国の木材加工地の形成発展に影響するか? 419
4.中国での木材加工製品はどこに流れるか? 423
5.おわりに 425
第7章 シミュレーション分析による将来見通し 429
1.はじめに 429
2.GFPMの構造 431
3.グローバル林産物需要の弾性値の推定 433
4.データとシナリオ 435
5.シミュレーションの結果 438
6.おわりに 450
総括 455
エピローグに代えて 463
編集後記 473
索引 475
前書きなど
プロローグ
近年の木材貿易に目を移すと特筆すべき点があげられる。すなわち、世界の木材貿易において中国の位置づけがここ十数年あまりで著しく高まってきたことと、もう1つの木材貿易大国である日本の立ち位置の弱体化が進行していることである。これは、中国の木材産業、木材貿易の拡大が直接的、間接的に日本に影響を及ぼした結果とみることができる。日本の森林・林業・木材産業を考える上で、中国の木材産業・貿易の動向を的確に判断することがますます重要になっている。
これまで、中国の森林・林業・木材産業にかかわる情報は十分とはいえなかった。本書の中でも示すように、1980年代から日本の木材加工企業が中国に対して技術移転を行い木材製品の生産に携わったり、日本産丸太を中国へ輸出したり、日中間の木材を通じた関係は少なからずあった。それにもかかわらず、中国の森林・林業・木材産業についての情報は十分とはいえず、あったとしても断片的なものにすぎず、中国の全体像に迫るものはみられなかった。
世界の木材貿易において重要なアクターである中国の木材流通・加工の実態、今後の展開方向、そしてその日本への影響を明らかにする目的から、森林総合研究所では、交付金プロジェクト研究「中国における木材市場と貿易の拡大が我が国の林業・木材産業に及ぼす影響の解明」(2008~2010年度)を実施した。
本書は、本プロジェクト研究の成果をまとめたものである。
2010年12月 独立行政法人森林総合研究所理事長 鈴木和夫
版元から一言
3カ年を費やした研究プロジェクトの成果。台頭する大国の全貌がわかる!
著者プロフィール