森と木と人のつながりを考える

 これからの森林環境保全を考えるⅠ

日本の森林管理政策の展開
その内実と限界

自然科学

柿澤 宏昭(著)

A5判  238ページ 並製
価格 2,200円 (本体価格 2,000円)
ISBN978-4-88965-254-3 C0061
在庫あり

奥付の初版発行年月 2018年06月
書店発売日 2018年06月24日

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紹介

戦後日本の森林管理政策をレビューし、根底に横たわる問題と今後の方向性を示す。『欧米諸国の森林管理政策』と同時出版!
(2020年9月1日にBODで50部増刷、2021年10月27日にBODで50部増刷しました。)

目次

はじめに 3
第1章 森林管理政策研究とは何か 9
第2章 戦後森林管理政策の出発 15
 第1節 戦前の森林施業規制の仕組み 16
 第2節 1951年森林法による森林計画制度 19
  第1項 1951年森林法の成立とその特徴 19
  第2項 保安林整備臨時措置法の制定 26
第3章 伐採許可制の廃止と保安林制度の転換 33
 第1節 伐採許可制の見直し 34
  第1項 1957年の森林法改正 34
  第2項 1962年の森林法改正に向けて 37
 第2節 1962年の森林法改正 42
  第1項 改正に向けた検討 42
  第2項 改正の内容と実行に向けた準備 44
  第3項 林業基本法の制定と森林法の改正 47
 第3節 保安林制度の改革 51
  第1項 森林法の改正と保安林制度の改革 51
  第2項 保安林整備臨時措置法の延長 54
 第4節 鳥獣保護行政の展開 58
第4章 森林施業計画制度の誕生と展開 67
 第1節 森林施業計画制度の検討と成立 68
 第2節 森林施業計画制度の実行と課題 73
第5章 自然環境保全への対応 81
 第1節 自然保護運動と政策展開への影響 82
 第2節 自治体・環境庁の取り組み 85
 第3節 森林法制度での環境保全への対応 92
 第4節 保安林整備臨時措置法の延長 98
第6章 1980~90年代の森林管理政策 107
 第1節 森林計画制度に対する1980年前後の現場からの評価 108
 第2節 森林計画制度への市町村の巻き込み 111
 第3節 特定保安林制度の発足 116
 第4節 リゾートブームをめぐる動向 120
 第5節 森林法による林地保全政策の限界 126
 第6節 森林計画と流域管理システム 132
第7章 地方分権下での森林管理政策 145
 第1節 1998年の森林法改正と地方分権一括法 146
 第2節 森林・林業基本法の制定と森林法の改正 151
 第3節 新たな森林計画制度の実行と課題 164
 第4節 治山治水臨時措置法と保安林整備臨時措置法の廃止 168
 第5節 自治体林政の新たな動き 170
第8章 生物多様性保全の取り組み 177
 第1節 種の保存法の制定と保護区の設定 178
 第2節 生物多様性基本法の制定 183
第9章 森林・林業再生プラン以降の動向 195
 第1節 森林・林業再生プランと森林計画制度 196
 第2節 森林・林業再生プランの実行状況 206
 第3節 森林・林業基本計画の変遷 215
 第4節 水資源保全に関わる動き 219
第10章 森林管理政策の総括 229

前書きなど

●「はじめに」から
 本書では、戦後の日本において、持続的な森林管理を確保するための法制度・政策がどのように展開してきたのかを振り返りつつ、なぜ変われなかったのかの要因を明らかにする。これを踏まえて、現代的課題に応えるために検討すべき課題を浮かび上がらせたい。
 本書でいう現代的な課題に応える持続的な森林管理とは、木材生産や水源涵養・保健休養などこれまでも期待されてきた多面的機能の維持・増進とともに、生物多様性保全など新たな課題に応えることができることを意味する。本書では、このような森林管理を民有林において支える政策について「森林管理政策」と称する。これまで森林管理政策では、主として森林法によって森林の管理の仕方に何らかの規制を加えることを森林施業規制と一般に称していた。本書では規制的手法の他に補助金など誘導的な手法も対象とするほか、自然公園や生物多様性保全など環境政策による森林に対する規制や誘導なども対象とし、森林施業規制とこれら政策をあわせて森林管理政策と称する。なお、森林法に関わる施策・規制について森林政策・森林施業規制という用語も併せて用いる。
 このような管理を確保するための政策手段としては、ゾーニングによる伐採制限や施業の事前チェックなど直接的な規制や、補助金・税制など経済的なインセンティブ付与による誘導、森林所有者や林業事業体に対する指導普及等があるが、実際の政策展開に当たってはこれらの諸手段を組み合わせて実行するのが一般的である。本書では、政府が森林の持続的管理を確保するために行う多様な政策の組み合わせ全体をとらえることとしたい。なお、自治体レベルにおける独自の森林管理政策についても、必要に応じて取り上げる。
 なお、本書として対をなすものとして、『欧米諸国の森林管理政策』も用意した。日本の森林管理政策が行き詰まる中で、今後のあるべき方向性を探るために、環境対応を積極的に進めている欧米諸国の経験は重要な示唆を与えると考えられる。このため、欧米諸国における森林管理を確保する法制度・政策及びそれを実行する組織を比較検討しつつ、どのように現代的な課題に応える仕組みをつくり上げてきたのかを明らかにし、日本が学ぶべき点について検討を行っている。あわせて参照いただければ幸甚である。

版元から一言

戦後日本の森林管理政策をレビューし、根底に横たわる問題と今後の方向性を示す。『欧米諸国の森林管理政策』と同時出版!
(2020年9月1日にBODで50部増刷、2021年10月27日にBODで50部増刷しました。)

著者プロフィール

柿澤 宏昭(カキザワ ヒロアキ)
北海道大学教授

上記内容は本書刊行時のものです。

2,200円
(本体価格 2,000円)

在庫あり

 

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